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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オトナの玩具はコドモ/『悪魔の手毬唄』(横溝正史・つのだじろう)ほか
 ……実は九州に住んでいながらまだ一度もMランドにもUランドにも行ったことがないのだ。これでウルトラファンを名乗ろうとは片腹痛い、と言われそうだし、しげがまだ童顔のうちに、ちょっと頭の足りない女の子を連れてるように見せかけて遊びに行きたいな。


 マンガ、魔夜峰央『親バカ日誌』(白泉社)。
 確かこの人、『より抜きパタリロ狂騒曲U』のコメントで、「マンガ家が私生活のことを読者に知らせるのは結構弊害があってよくない」とか書いてたんじゃないかなあ。
 昔、「花の独身ミーちゃん28歳」とか書いてたのを“今でも”そうだと信じてる読者がいるそうである。魔夜さんはバンパイアか。
 と言うか、こういうマンガを描いたってのは、「もう私は結婚してて子供もいますよ〜」と昔の読者に知ってもらうためだったのかもしれない。
 でもそれで離婚でもしちゃったら、離婚マンガも描かなきゃならなくなるよなあ。内田春菊だよ、それじゃ。
 離婚はないにしても、子供がグレる原因になる可能性はあるな。それもマンガに描いたらすごいんだけどね。

 マンガ、横溝正史原作、つのだじろう作画『悪魔の手毬唄』(講談社漫画文庫)。
 昭和50年代、あの空前の横溝正史ブームの真っ最中に、怪奇漫画を描かせるならこの人ということで白羽の矢が立ったのだろう、つのだじろうの手によって描かれた一連の金田一耕助シリーズの一編の復刊。
 他に『犬神家の一族』『八つ墓村』があり、これも漫画文庫で復刊される予定らしい。それならついでだから、本来完結編として描かれる予定だった『病院坂の首縊りの家』も新作として発表してほしいなあ。当時は原作の連載が長期化して、漫画化が中止されちゃったのだ。
 『手毬唄』のマンガ化に関しての最大の変更は、舞台を昭和30年代から現代(50年代)に移したことだろう。殺される三人娘がトップレスのアイドルグループってのも思いきりエロな改変だし、手毬唄自体、彼女たちが歌っている歌謡曲ってことになってる。
 でもそれよりも原作ファンが怒るのは、金田一耕助が、和服ではなく洋服姿だってことだろうな、しかも丸メガネに口ヒゲの小男(^o^)。
 「どうして原作通りじゃないの!」といきり立った女性ファンは多かろうが、実はこれ、必ずしも原作無視とは言えないのである。なぜならこのキャラクターデザインは、原作者の横溝正史が金田一のモデルにした劇作家、菊田一夫そのまんまなのである(ちょっと菊池寛も入ってるような気がする)。
 横溝正史が初めて出会ったときの菊田一夫は、作家部屋でゴロゴロしていた和服姿の書生であった。後に、功成り名を遂げて菊田は洋装するようになる。だから金田一も現代では洋装している、というわけ。
 更に言えば、金田一が変装して犯人を追いつめるのは、映画の片岡千恵蔵が金田一を変装の名人としていたことへのオマージュである。
 その辺を押さえて読めば、この本、マニアには楽しい一冊なのだ。
 解説の二階堂黎人、そういった制作事情に全く触れようとしていない。つのだじろうの経歴を紹介するのはいいけれど、これが『悪魔の手毬唄』の漫画化だってこと、忘れちゃ困るんである。

08月18日(土)
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