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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■動機は藪の中に/映画『リトル・ミス・サンシャイン』/映画『こまねこ』/ドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』
実はこれまでの『悪魔』の映画、ドラマ化においては、このトリックにミスがあるために、一度も映像化されたことがなかった。
このミスについては、原作者自身が改稿を考えていたのだが、残念ながら横溝正史には音楽に関する知識がないために(息子の亮一さんはフルート奏者なんだから、協力してやればよかったのに)放置されたままだった。
従って、『悪魔が来りて笛を吹く』というタイトル自体が一つのトリックになっているにもかかわらず、映像は常に「メイントリック不在」のまま、つまりは「不完全版」のまま、映像化され続けていたのである。

脚本の佐藤嗣麻子は、これまでのシリーズでも、原作のエッセンスを充分に引き出した脚本を書いてきた。正直、テレビドラマという時間の枠がなくて、映画という枠であったなら、これまでの横溝映像化の中で最高傑作と言ってよいほどの出来栄えになっただろうと思われるものばかりなのである。
今回もそれを期待してみたところ、まさに横溝ファンの意を得たかのように、このトリックミスが修正されていたのである。
何人か原作の登場人物が省略されていたり、密室トリックがなくなっていたり、原作の改変はかなりあるが、それでもこのメイントリックが初めて修正されたという点で、今回のドラマ化を高く評価しないわけにはいかないだろう。
省略された密室トリックも、正直、『本陣殺人事件』に比べればチャチとしか言いようがないものである。もしあと30分、尺があれば、この密室トリックも何とかグレードアップすることができたのではないかと思うと、やはりテレビという枠の狭さが残念に思えてならないのだ。

01月05日(金)
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