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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■どういう風の吹流し(笑)/ドラマ『赤い運命』最終回
 あえて役名ではなく役者名で筋を書いてみたが、役者同志の絡み合いがいかにものすごかったかを、役者の顔を思い浮かべてもらって想像していただきたかったからである。
 船越英一郎がどうして筒井康隆を暗殺しようとしていたかは、「シベリア抑留」が背景にあったことが理由として語られる。彼が少年義勇軍として戦地に取られた後、軍を立ち上げた張本人でありながら、敗色濃厚となると少年兵たちを見捨てて日本に逃げ帰ったのが筒井康隆であったのだ。抑留中に死んで行った仲間のためにも、船越英一郎は復讐を誓っていたのである。
 実際に抑留を行ったソ連に対してよりも、一切責任を取ろうとしない同胞の指導者たちの方にウラミが向くのは、原案の佐々木守が典型的なサヨクであるせいだろうが、おかげで物語が後半になればなるほど説教臭くなって行くのには閉口した。船越英一郎を「国家の犠牲者」として描く視点は、必ずしも間違いではないが一面的である。
 思想を語ることがいけないとは言わない。しかし、それがドラマとしての工夫を経ることなくストレートにメッセージとして語られた場合、視聴者はたいてい「俺は別に説教を聞きたいわけじゃない」「裏切られた」と感じてしまうものだ。もう少し脚本を練り直す余裕がなかったわけではなかろうと思いたいが、そういうわけでもなさそうなのが残念である。

10月06日(木)
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