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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■最上の味と最低の映画/映画『恋に唄えば』/『ブラックジャックによろしく』3巻(佐藤秀峰)
この後、居酒屋でユミがヤケ酒をあおるシーンや、壷男がテレビに登場してユミをオーストラリアに行くように誘うシーンなどは全部ムダで逆効果。このシーンのあとでどうしてユミがサトルを追いかけて行くことを決意するのか、全然つながらない。ここはスパッと間を置かずに猪突猛進させた方がずっと自然だし、テンポも出る。ここまで脚本も演出も基礎的なことがわかってないと、殆どシロウトだよ。
それにここで登場した長老(古田新太)、壷男に「また女に惚れたな?」と言うんだけれど、これホントに竹中直人がイヤらしい中年にしか見えないからシャレにならんのだ。ユミのことが好きだけど、縁の下の力持ちに徹するしかない純情男って風に演出したいんなら、竹中直人だけは使っちゃダメでしょ(-_-;)。これ、まだ本物のアラビア人使った方がマシだよ。チャダ呼んで来い、チャダ。
。意志に反して、なぜか壺男を道連れに・・・。
辿り着いたのはオーストラリアのブリスベン。俯瞰のシーンがないからどこがどうオーストラリアなんだかよくわかんないが。日本ロケで熱海でもよかったんじゃないか。どうせビンボ臭い日本映画なんだからとことんビンボ臭く作ってみたほうがかえって笑えるものができたかもよ。
ユミと壷男がカフェで食事をしていたときに、インチキ手品師に財布を盗まれて、二人は一文無しになってしまう。仕方なく厨房でのバイトを始めておカネを稼ぐ始末に。ユミに悪態をつかれながらも、壺男は「大丈夫〜♪」と脳天気な歌を口ずさんで、カフェや通りの人々を巻きこんで陽気にミュージカル!
……ってここまで全くミュージカルシーンがなかったのはどういうわけ? しかも厨房のシーンはともかく、通りに出てからワンブロックも動かないでどこがミュージカルかね。で、なにがヒドイって、まず第一に竹中直人のダンスがいつもの竹中直人踊りで、全然ミュージカルになってないこと。バックと絡んでないんだよ。更に優香がこのミュージカルシーンに全く参加しない!(っつーか最後まで殆ど躍らない)スケジュールの関係なのか、本人が躍れないのかどうか知らないけど、ヒロインが踊らないミュージカルってあんまりじゃない?
もうこの時点で私はこの映画、完璧に見限った。
後のストーリーは書くのもめんどくさいので簡単に。
壺男が強盗犯から強奪してきたオープンカーで二人はメルボルンへ。強盗一味に追いかけられるシークエンス、ここもタルイ。ここにもミュージカルシーン入れなきゃウソだろ。
途中で寄った美術館で壺男が『千一夜物語』の干二夜目の登場人物だということが判明。人間のお姫様に恋するあまり、魔界の掟を破ってその愛を魔法でゲットしようとしたために、罰として壺に閉じこめられたのだった。
ようやくとある病院でサトルに会った二人。サトルは実は死にかけた幼馴染のエリコ(梅宮万紗子)のためにユミと別れたのだった。事情を察して帰国することにしたユミだが、最後に壷男に願い事を変えてもらう。「エリコさんの命を助けて!」。
人の命を助けることも御法度の魔界の掟、あわれ壷男は再び壷の中に。そしてユミは壷男の記憶をなくす。けれど壷男は諦めなかった。ユミの本当の願いを自分は叶えていない。そして壷男は姿を変え、再びユミのもとに……。
このどうしょうもなくつまんない映画で、ラストだけは少なくとも「救い」だなあ、と思ったのは、変身後の壷男を篠原ともえが演じているから。いや、これが竹中直人に見えるのがスゴイんだよ(^_^;)。しかもちゃんと歌って躍るんだけれど、本来、そんな演出は予定されてなかったらしい。篠原ともえ自身が「ここは私にも踊らせて!」と自分で振り付けて踊ったんだそうな。……篠原ともえの方が金子修介よりよっぽど映画がわかってるよ。『GMK』での篠原ともえもよかったしなあ、彼女に監督させてた方が出来がよくなったんじゃないか。
しげに請われて見に来た映画だったけれど、今年見た映画の中でも最低ランク。いやまあ、最初から期待はしてなかったから傷は受けてないけどね。
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11月22日(金)
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