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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■トンデモさんが一杯/映画『カタクリ家の幸福』ほか
 でも火山の中腹の荒野に経ったペンションになんか、客は来るはずもない。
 テレビはどこのチャンネル回しても竹中直人しか映らないし(^o^)。
 たまに通りかかるのは死出の旅かの巡礼さん。
 お気楽なマサオの妻テルエ(松坂慶子)、子連れで出戻りしてきた娘のシズエ(西田尚美)、ヤバい事件で会社をクビになった息子マサユキ(武田真治)、シズエの娘ユリエ(宮崎瑶希)、そして愛犬ポチ(ガタピシ!)。

 家族の間に険悪なムードが流れる中、ついにやってきたお客様第一号!
 けれどやけに陰気なこの男、部屋に入るなり、「たどりついたら行き止まり〜♪」と踊り出す。
 ……そう、予告編で知ってはいたが、これは「和製ミュージカル」だったのだ!
 それにしても、一曲目をいきなり「自殺の歌」で始めるか?
 このミュージカルのセオリーはずしてるところがいかにも怪作。
 翌朝、家族で起こしに来てみると、男は部屋のキーを首に突き刺して死んでいた! なんでそんな難儀な死に方を。
 驚いてミュージカるマサオ・ニヘイ・マサユキ・テルエ。
 ……踊ってる場合かよ(ーー;)。
 ここで警察沙汰になっては、二度とお客が来なくなってしまう!
 悩んだカタクリ家の面々は、裏山に死体を埋めることに……。

 それからというもの、やって来る客来る客、死んだり死ななかったり。
 人気絶頂の力士・歌の海は女の子連れでやって来て腹上死。
 女の子は歌の海の下でぺちゃんこになって腹下死(^_^;)。
 またまた裏山へ埋めに行くカタクリ家。
 でも、次に泊まったいかにも行き詰まった貧乏そうな一家四人は「あの……ヒモを貸していただけますか? 丈夫なやつ」とか言って期待させときながら(おいおい)、期待に反してそれは切れたベルトの代わりなのだった。

 一方、町に出たシズエは、自称イギリス王室出身アメリカ軍人のリチャード佐川(忌野清志郎)と知り合う。
 ひと目で恋に落ちた二人は急接近。
 で、やっぱり踊るのよ。
 「らりるれ ローズ色の世界〜♪ たちつて ときめきながら〜♪」
 私は〜今までぇ、これほどぉ〜、いい加減な作詞を〜、見たことがなぁい〜♪(『悲惨な戦い』のメロディーで)。
 書いたのは脚本の山岸きくみさんだそうだけれど、何者だ。パンフにプロフィールが書いてないぞ。ネットで検索しても、あとは『つげ義春ワールド「やもり」』しか書いてない。謎だ。

 すっかり妄想のトリコになったシズエに、リチャードは、「シィズエのこぅとぅ、エぃリザベスおぅばさんにセッツメイするたぁめにィ、イぃギリスへ行ッかなくてぇはぁ。でもミーにはおカネが今ないディス。飛行機代、貸してくゥれマスかァ?」と借金の申しこみ。
 ……イギリス系アメリカ人(ってなんだよ)が「イィギリス」なんて発音すんなよ(ーー;)。
 実は、リチャード佐川は名うての結婚詐欺師だったのだ!
 ……バレバレやがな。
 ペンションまでやってきたリチャードを怪しいと見破ったニヘイは、格闘の末、リチャードを崖から突き落としてしまった! いや、トドメさしたのはシズエだけど。
 ついに殺人か!
 しかも、てっきりガセだと思っていた道路が、ペンションの前から裏山にかけて開通することが決まったのだ!
 ……え? 裏山……?!
「……移し変えなくちゃ! 死体!」
 ペンションへ向かってやって来るパトカー!
 突然乱入する殺人犯!
 脈絡なく爆発する火山!
 踊るカタクリ家の面々!(だから踊ってる場合か!)

 ……あ〜、この映画の超絶的かつ、信じられないラストをご紹介したいところですが、さすがにそこまでバラすと映画を見る楽しみが殺がれると思いますので、隠しておきます。
 ともかく、この日記を書いてる今でも、あのラストはもしかしたら私の妄想か白昼夢ではないかと疑っております。
 アレは確実に『シベリア超特急』『ちんちろまい』を越えました。
 もう三池監督にかなう人は世界に存在しないと断言していいでしょう。
 ……誉めてんのか、これ。


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02月23日(土)
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