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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■親の死にメよりアニメ/アニメ『ナジカ電撃作戦』MISSION 007/『MISTERジパング』7巻(椎名高志)ほか
 実は私も鈴木由美子さんのマンガを読むとつい泣いてしまうのだが、それは白鳥麗子も音無可憐もこの山田バーバラも、恋するオトメというのが、男以外のものに強い充足感を抱くことができない精神的なカ○ワであることをあまりに露骨に表しているからにほかならない。
 語弊があるのを承知でいうが、オタクが自分の趣味に拘泥するのだって、精神的カ○ワである。人間はみな自分が自分であるために何かに拘わろうとし、その結果、どんどんと既知外になっていく。でもその選択肢の多い男に比べて、女はなぜここまでその選択肢を狭められているのだろう。
 「ほかにいくらでも女性の価値を認めさせる道はあるだろう」なんてセリフを簡単に吐けるオトコははっきり言って鈍感だ。女性はどんなにトシをとろうと美にこだわり続ける。その固定観念から本当に抜け出せる女性なんて皆無だ。言わば女性たちはみな不治の病に罹っているようなものなのだ。
 ……そんな話見せつけられりゃ、泣くしかないじゃん。


 マンガ、椎名高志『MISTERジパング』7巻(小学館・410円)。
 黒幕の天回、いったいどの時代から来たのかと気になってたが、昭和20年とはいい時代を選んだなあ。読者の我々は当然それ以降の歴史をも知っているわけで、だからこそ、信長の、「その戦争のあとをお前は見るのをやめて逃げて来たんだろ? 何が『滅亡』だ、見もしなかったくせによ! 地球が吹っ飛んだわけじゃねーんだ、その先にも天下は広がってるはずだぜ!」というセリフを実感できる。
 読者もまた、仮に今の時代に何かの逼塞感を感じていたとしても、そこから他の時代を夢見ることが「逃げ」になるのだという椎名さんのさりげない歴史認識を感じることができるのだ。その「逃げ」を許さない考え方自体にはちょっと異論もあるのだけれど、熱血派というか、いかにもサンデー系列の清く正しい少年マンガの王道を走ってる人なんだなあ、ということはよく分る設定なんだよな、これ。
 しげが折り返しの「あなたの信長度チェック!!」がいたく気に入っていて、「アンタはいくつ?」とか聞いてくる。
 「1、奇襲は得意な方だ。2、圧倒的な強さの敵が、勝負の直前突然不慮の死をとげてくれたことがある。3、大相撲を開催するのが趣味だ。4、家が安土城だ。」
 ……1個もあるか。


 『キネマ旬報』12月上旬号、東映50周年記念号。
 東映が50周年と言われて、え、たったの? と思ってしまう人はやっぱりかなり古い人じゃなかろうか。確かに「東映株式会社」がスタートしたのは50年前の1951年(昭和26年)だけれど、これには前身である東横映画の年数は入ってない。1938年(昭和13年)から数えれば、63年。……それでもなんだか短い気がするなあ。つい何年か前、やたらと「映画100年」なんて言ってたし、東映初期からのスターたち、市川右太衛門、片岡千恵蔵、中村錦之助、大友柳太朗、大川橋蔵、東千代之介、みんな、みんな、死んじゃってるから、なんだか90年くらい歴史があるように錯覚しちゃってるのである。
 やはり映画きそれだけ若い芸術なのである。
 しかし本当に東映も昔日の面影がないなあ。高岩社長が一人気を吐いて、「『千年の恋』みたいなメジャーの作品を作り続けている映画会社は、今のところうちしかない」とか言ってるが、東宝の『ゴジラ』を無視する気か?
 「『鉄道員』は東宝や松竹でやったらヒットしない」って発言も暴言に近い。……松竹はともかく、東宝の方が絶対もっとヒットしたと思うがなあ。直営館で言えば圧倒的に東宝が有利だろうに。
 こういう現実を認識できなくて夢物語ばかり言ってるやつが映画会社の社長に多いのはなぜなんかね。基本的に映画関係者が「山師」だからってことなんだろうか。

11月22日(木)
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