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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■古希の憂鬱/『昭和の東京 平成の東京』(小林信彦)
 東京もこの50年の間に変貌し、博多もまた変わった。博多もまた「職人と商人の町」ではなくなった。私の博多人のイメージもまた過去の郷愁に彩られたものでしかなくなってしまっているが、だからと言って、「今の博多が正しい」と過去を何も知らない若造に抜け抜けと言わせておくほど、過去は歴史になっちゃいないのである。なくなったものを元に戻せと言いたいのではない。「一度お前たちが無くしてもう元に戻らないものは、こんなものだったんだよ」ということを知った上でないと、「自分もまたいつか何かを失う」事実を現代人が受け入れられなくなると思うのである。
 その喪失感を覚悟することができなければ、人は簡単に「幻想の世界」にさまよい出てしまうことになるのだが、そういった事件、最近はやたら増えちゃいないかね。


 マンガ、夏目義徳『クロザクロ』5巻(小学館)。
 面白くなって来てるんでしょうか、このマンガ。表紙イラストは毎回凄くいいんだけど、本編のモノクロマンガになると、一気に絵に華がなくなっちゃうんだよね。
 いや、話そのものも『寄生獣』の安易なパクリっぽくなってきて(ザクロがミギーなわけだな)、やっぱり「対決モノ」にシフトしていっちゃって、「乗っ取るもの」と「乗っ取られるもの」のコミュニケーションのズレの面白さがなくなってきてしまった。ザクロの真の姿が「青年」というのも興醒め。子供の姿だからこそ、その冷徹さが際立つのに。
 なんだかだんだん『トガリ』の二の舞臭くなりつつあるように思えてならないんだけど。


 マンガ、ゆうきまさみ『鉄腕バーディー』10巻(小学館)。
 話がちょっとモタモタしてきたかなあ。キャラクターが増えすぎて、うまくまとめられなくなってきてるような、全体的に印象が薄くなっちゃってる。だいたい、主役のバーディーがここんとこ失点続きで、カッコよくない。今巻でも、千明の奪還に完全に失敗してしまっている。ゴメスに預けといた方がなんぼかマシって、その通りじゃん。主人公なんだからさ、もうちょっとアタマ使った活躍させてほしいよなあ。
 つとむの姉ちゃんのはづみがどうも獣人化計画に巻き込まれそうなんだけれども、これも前巻あたりから延々引いてて、ちょっと飽きが来ているのである。この姉ちゃんに魅力があれば、まだハラハラドキドキもしようってものなんだけれども、フツー過ぎて、緊迫感が出ないんだよね。総じて最近のゆうきさんの描くキャラはデザインはいいんだけれども、内面的には底が浅くてイマイチ立ってない。私ゃもう、このマンガはゴメスが好きで読み続けてるようなもんだ。オジサンがオジサンに萌えてどうするよ(苦笑)。

 「萌え」で思い出したが、昨日、電車に乗っていたら、男子高校生一人と女子高校生二人が乗り込んできて、こんな会話をしていた。
 女子1「あんたさあ、メイドカフェとか興味あるやろ。オタクやし」
 男子「何それ? メイド……何?」
 女子2「メイドカフェ。天神にあるっちゃろ? 行ってみたくない?」
 男子「よう分からん」
 女子1・2「(唱和して、両手を男子に向かってヒラヒラさせながら)萌え〜、萌え〜」
 男の子は剣道の市内を持っていたから基本的にはスポーツ少年なのだろうが、こういう男の子にもオタク菌は蔓延しつつあるようである。
 つか、電車の中で「オーレ、オーレ」みたいな口調で「萌え〜、萌え〜」とやらかす女子高生が存在するような時代になるとは、オジサンちょっとビックリしちゃったよ。

09月21日(水)
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