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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■なーいないない金がない/『鉄人28号 皇帝の紋章』3巻(横山光輝・長谷川裕一/完結)
〉「戦争が終わったって、それで全部が終わりじゃないじゃろう? 人間は、その先だってずっと生きていく。その時、こいつ(鉄人)の力は役に立つじゃろう。だからわしが造っとるのは“でっかい人”なんじゃよ。人間なら、その手に銃を持つこともあるじゃろう。だが、それを鍬や鋤に持ち替えることも……。花を持つことだってできる。こいつに今、何かを持たせちゃいかんよ」
なんか「魂の言葉」を聞かされたって気になるなあ。この思想が、現代の、様々なロボット開発に繋がっているのだと言えるね。私ゃ「癒し系ロボット」なんて何なんだよって感想を持ってはいたんだが、そうだよな、「全ての科学技術は容易に戦争に結びつく」という思想を否定するんであれば、「犬型ロボット」だって許せちゃうのである。
もちろん、マンガは思想を語る道具じゃない。しかし、マンガから思想は自然に表れる。ロボットマンガは純粋にエンタテインメントであることが私にとっては理想なのだが、物語を支える思想が右だの左だのといった狭苦しいものでなくて、ただひたすら人類の未来を信じるものであるなら、物語は決して破綻しないのだ。
同じようなコンセプトで始められていながら、少年探偵どころか辛気臭いとっちゃん坊やになり下がった正太郎が愚痴を言うばかりの今川泰宏監督アニメ版は、横山光輝の名前を冠するに値しない糞アニメであった。横山さんの衣鉢を継ぐ『鉄人』は、ここにある。
しかし、個人的に一番のツボだったのは、敷島博士と大塚署長の次の会話だったりする。
〉敷島「正太郎は私の娘のマキと結婚させるのだ!」
〉大塚「あんた娘いないでしょうがっ!」
〉敷島「え? あれ? でも正太郎くんは将来有名なロボット学者と結婚するって決まってるから」
〉大塚「何 混乱しとるんですか?! あんたは?」
『鉄人』アニメ化の歴史がいかに黒歴史であったかを象徴するような会話だね(笑)。
09月08日(木)
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