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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■世界で一番の石野真子!/舞台『Shuffle(シャッフル)』
奥菜恵はこれまで『弟切草』と言い『呪音』と言い、誰が演じても構わないような役どころばかりで損をしていたと思うが、伊原剛志との見た目40センチは慎重差があるんじゃないかというコントラスト、そのチビっぷり(多分150センチそこそこだ)が際立って、まるで「地下鉄のザジ」のように溌剌でかわいらしく見える。しかもそのかわいらしさは「ブスメイク」ゆえなのだ。もちろん物語の途中でブスメイクを落として素顔の「美女」になるシーンはあるのだが、後藤ひろひとの慧眼は、この子は「ブスにした方がかわいい」という点に気づいたことである。整った美人って、かえってキャラとしては立てにくいんだよね。美女になるのは一瞬で、ホントにほぼ全編、ブスメイクのままってのが素晴らしい。
そして、やっぱり最後に言わせてほしい「幻想ヒロイン石野真子」を演じた石野真子。もう最強である。ラストはついに「生石野真子」として『ハートで勝負』を熱唱。青春の若き日、朝目覚めれば真子のことを思い、昼飯を食いながら真子のことを慕い、夜の夢に真子を見ることを願い毎日を過ごしていたころの憧れが再び胸に込み上げてくる。……そうだよ、隣の女房そっちのけで手拍子打ってたの、俺だよ。もちろん石野真子のたどってきた人生のアレやコレやを思いながら泣いてたともさ、悪いか(向かいの県立美術館ではちょうど長渕剛展やってやがった。けっ)。
けれど、芝居がはねて出口に向かう客は一様に「石野真子がよかった」「すごいね石野真子」「やったね石野真子」と「真子が」「真子が」と、みんなミコになったかのように(←古くて分かりにくいギャグ)石野真子をたたえていたのである。そうだよ、『BIG BIZ』がシナトラを称えるための舞台だったとすれば、これは石野真子至上主義を高らかに宣言した舞台なのだ。ちょっとくらいダレ場があったって、真子がその全てをカバーして余りある感激と興奮と陶酔とを味合わせてくれたのだ。これほどの至福、これほどの福音、またとあろうか。
DVD絶対に出せよ、パルコ。
05月16日(月)
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