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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■腐女子さんは今日の内容読んだら気を悪くするよ/映画『失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン』
共産党に狙撃され、足や頭にはまだそのときの傷が残っているが、それを平気で見せる。隣にいたジャッキーが、「僕も同じところに傷があるよ」と映画の撮影でできた頭の傷を示して、「親子の絆(?)」をアピールするのだが、これは笑っていいのか感心すればいいのか。
犯罪に荷担していた月榮をどうして救う気になったのか、ジャッキーは父親に問い掛けるのだが、「中国人は人情に厚いから」といけしゃあしゃあと答える。もちろん人情以上の感情があったに違いないのだが。
ジャッキーが入学した中国戯劇学院のカンフーの師匠を「共産党のスパイ」と呼び、ジャッキーに向かっても「お前がアメリカ進出を図ったのも共産党のスパイ活動のためだろう。私には分かっているのだ」と言ってのける。ジャッキーが頷きも笑いもせず、無表情で聞いているものだから、おいおい、ホントにそうなのかよ? と見ているこっちがビクビクしてしまう。
40年以上もして、どうして真実を語る気になったかは、妻の月榮が病気になり、死期が迫ったからであったが、タイトルにある通り、「失われた龍の系譜」を回復するためでもあったのであろう。道龍はほぼ50年ぶりに息子二人、娘二人を探し当て、再会、名前も「陳志平」から「房道龍」に戻す。兄たちは、姉たちは、自分たちを捨てた父親をどう思っていたのだろうか? 映画はそれも深くは語らない。多分、「語れない」のだ。映画は、その兄や姉たちの家族に囲まれて、「おじいちゃん」となった道龍を、いかにも幸せな大家族のスナップショットの中心に映し出して終わる。
そしてジャッキー・チェンは、「陳港生」ではなく、「房仕龍」(ファン・シーロン)となり、芸名の「成龍」だけでなく、本名でも「龍」の字を継いだ。出来すぎた結末で、ドキュメンタリーでありながら何か「足りないもの」を感じないではいられないのだが、その最大のものはこの父親の話をジャッキーが「どう受け止めたか」である。歴史の年表だけを見せられて中身の説明がまるでないようなものなのだが、兄姉たちの過去も含めて、それらが本当に語られることはないのだろう。
月榮は2002年に他界した。現在に至るまで、ジャッキーは兄たちに面会してはいない。父は「会う必要はない」と語り、兄は「会わなくても弟は弟だ」と答える。そしてジャッキーは沈黙を守る。
多分、それでも彼らは「家族」なのだ。どうしてそう思うかについては、私もジャッキーに倣って沈黙を守りたいと思う。
帰宅したら、しげはまた爆睡。だから昼間練るなって。夜、練られなくなるだろ?
『アニメージュ』6月号、恒例のアニメージュグランプリ、数えてもう27回であるが、まあ想像通りグランプリを取ったのは『機動戦士ガンタムSEED DESTINY』(2501票)で、2位の『鋼の錬金術師』(1478票)を大きく引き離していく。更に3位以下は得票が一気に3桁台に落ち込むので、アニメージュ読者にとっての昨年のアニメと言えば、“この2本しかなかった”ということになる。『アニメージュ』も腐女子に乗っ取られて久しいから、この結果も仕方がないのだが、70年代からアニメブームの牽引的役割を果たしてきた老舗がこのようなテイタラクに成り果てていることに忸怩たる思いを抱いているアニメファンも多々いらっしゃるに違いない。何たってねえ、このグランプリ、『マインドゲーム』が一票も入っていないのだ!(たいていの批評家がベストワンに推していると言うのに!)
この十年くらい、あまりにもベストテンに「偏り」があるために、グランプリとは別に批評家のベスト作品を紹介したり座談会を開いたりして、読者のアニメに対する啓発(つか啓蒙に近いな)を行ってきているが、効果は殆ど上がっていない。ともかく今のアニメファン(と言うよりはキャラ萌えの腐女子)くらいアニメを見ていない連中はいないのだ。以前は私も「頼むからもう少しほかのアニメも見てよ」と言ってたが、もう最近は「頼むから『アニメファン』を名乗らないでくれ」と言うしかないな、という気持ちになりつつある。
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05月15日(日)
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