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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■波瀾万丈……だったかもしれない一日/DVD『北九州モノレール』
 今しかやってないイベントはあと「バイオハザード4Dエグゼクター」だが、看板にはしっかりミラ・ジョボビッチがいるのだが、アトラク映像には登場せず。なんかこれも詐欺にあった気分である。しげは案内役の「タカヤマ」さんが滑舌悪くて気に入ったみたいだったが。客は私たちと若い女の子4人連れだけだったのだが、この子たちが実にけたたましく悲鳴をあげてくれるので、そちらの方がおもしろかった。会場から出て、一人が「うるさくてすみません」と謝ってきたが、なあに、全然謝るこっちゃない。
 そのあと「ブギウギスペースコースター」「クリッパー」「宇宙博物館」などを回る。
 最後はやっぱりしげのお気に入りの「アクア」を乗り倒す。閉園時間ギリギリまで乗ったのだから、しげも充分満足だろう。「あんたは楽しくないと?」としげは心配そうに聞くのだが、別に楽しんでないわけではなくて、私はもともとアトラクで声を出したりしない、というだけのことである。
 適当に土産を買って帰るが、「宇宙ポテト」とか「宇宙クッキー」っていうネーミングセンスはどう判断すべきでしょうかね。ここで珍しくも『北九州モノレール』のDVDを発見する。モノレールに乗ったときの運転手席から見た映像を延々映しているだけというDVDなのだが、こんなん誰が楽しくて買うんだ。かなりなトンデモ物件じゃないのかねえ。もちろん私は即買いしましたが(^o^)。
 しげが、こんなの東京にも絶対にないよ! 東京のグータロウさんにプレゼントに送ってあげようよ!」というのだが、滅多にないものがすべて価値があると思っているのなら、それは大きな勘違いというものであろう。


 博多に着いたのが7時。
 父と待ち合わせて、「ひらお」でてんぷら定食。テレビで人気の店らしく、やたら人が混んでいた。ネタ自体は屋台の味で、まあすごく誉めるほどのものじゃないけど、値段が安いのと、イカの塩辛が食べ放題なのが魅力のようである。
 父、帰りしなにその塩辛を買って、土産にくれる。瓶にたっぷり詰めてあるので、一週間くらいは持つだろうか。
 帰宅して、『北九州モノレール』を見ていたら、猛然と睡魔に襲われて、そのまま落ちる。……運転席からの映像って、前方の線路しか見えないんだよね。眠くもなりますって。


 『天国にいちばん近い島』の作家、森村桂が自殺。享年64。
 平成9年ごろから体調を崩し、鬱病による入退院を繰り返していたそうで、その果ての自殺だとすれば、あまりにもその作風とのギャップがひどくて、やりきれない。
 森村さんがどれほどのベストセラー作家だったのか、その著書を殆ど見かけなくなってしまった現在では、どんなに言葉を尽くして説明しても若い人にはピンと来ないだろう。昭和40年代、文庫ブームが起きた時の主流作家の一人は紛れもなく森村さんだった。地方の小さな本屋でも、森村さんの文庫本は書棚のひと棚からふた棚、いや、へたをすると三棚くらいは軽く占めていて、他の作家の追随を許さない感があったのだ。
 当時は、まさかこれだけ売れている作家が、数年後には誰からも見向きもされなくなるとは、とても想像がつかなかった。私が所持している昭和59(1984)年刊の『続天国にいちばん近い島』の巻末には40冊以上の著書が出版されているように記載されてはいるが、実はそのころには既に現物は殆ど絶版状態だったのである(十年ほど前まで、角川文庫は、おかしなことに絶版本のタイトルを、あたかも現在もまだ流通しているかのように平然とカタログに載せていた)。
 しかしそれでも『天国にいちばん近い島』だけは別格だった。なによりもこれは森村さんの出世作であり、その内容も、作家である父・豊田三郎の残した言葉を信じて「この世界のどこかに“天国にいちばん近い島”がある」と、単身ニューカレドニアに渡っていき、そこでさまざまなトラブルに巻きこまれながらも優しい人々との出会いを通して森村さんが自己を回復していくという、ロマンチシズムにあふれた波瀾万丈の傑作冒険物語だったのだ。森村さんが、ウベアの澄み渡った青い海に足をひたして、「お父さんに会った」と感じるその情景、この描写に心を打たれ、涙した読者は何万人、何十万人といることだろう。

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09月27日(月)
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