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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■鷺沢萠の自殺と、人質解放
実は鷺沢作品は、中学・高校の国語の教科書への掲載数が現時点で最も多いのだが、それはその「書かれざる心理」を読み取らせようとする教科書編集者の意図の表れなのだろうと思う。けれど書かれぬものは書かれぬだけの理由があるのだ。それをあえて表現させようというのは野暮の極みであると思う。日本の国語教育の下らなさを感じるが、思春期に鷺沢作品に出会えること自体は、現代の高校生にとっては幸せなことであると思う。時間があればコンテンツの方で鷺沢作品のレビューを書いておきたい。映画化された作品にも『大統領のクリスマスツリー』、『F』がある。
数年前『キネマ旬報』で連載していた映画エッセイ『スターはアタシの手の上で』も楽しみだった。ただひたすら哀しい。
ここまで書いたところで、新たなニュースが入った。警視庁の調べで、鷺沢さんの死因が首つり自殺と発表された。
なんでだ。
鷺沢さんを愛していた人は、たくさん、本当にたくさんいたはずだ。なぜそんな人たちの思いを踏みにじった。そんなに疲れていたのか。魔がさしたのか。
今更言っても仕方がないが、結婚に失敗して以来、どうしてずっと、一人でいたのだ。誰かと一緒に生きる道を見つけられないはずはなかったろうに。
このやり場のない憤りをどこに持って行ったらいい。
今日8時40分、イラクの放送局アルジャジーラが、武装テロリストに拉致されていた日本人の人質3人、今井紀明さん、高遠菜穂子さん、郡山総一郎さんが、ついにバグダッドで解放された、と報道。でも私ゃ善人なんかじゃないから、もちろん「おめでとう」は言いません。世間には喜びの声が上がってるらしいけど、何を「喜んで」るのか自覚してるんかね。状況は「いろいろと」かえって悪化してんだけど。
ここ数日、家族は世間の非難を浴びてすっかり「自衛隊撤退」を口にしなくなっていたが、これでまた喉元過ぎればなんとやらで同様のことを言い出すようなら、またぞろ馬鹿を繰り返すことになろう。マスコミが手薬煉引いて取材してくるだろうが、全部断ってノーコメントで通した方がリコウである。
なんたって、三馬鹿を拘束していた反米テロ組織は、「今回の解放は、日本人が自国内で自衛隊撤退をデモしたためで、日本政府が何かをしたためではない」と明言しているのだ。これでなおも「自衛隊は撤退すべき」と言い出そうものなら、テロリストの主張に同調することになる。まあ、そう表明したい人はすりゃいいけど。もちろんこんなのはテロリストたちのただの牽制で、これであの3人を解放しなかったら、自分たちの立場が不利になるからそうしただけのことだ。「自衛隊は撤退しない」と小泉首相が言い切ったからこそ、テロリストたちは途方に暮れ、彼らを解放するしかなくなったのである。でもそれが読めない馬鹿も世間にはゴマンといるんだろうなあ。ああ、やだやだ。
これから家族がやるべきことは、帰国したあの三馬鹿に謝罪をさせた上で、絶対「自衛隊撤退」を口にさせないことだろう。さんざん叩かれたんだから、さすがにそれくらいの知恵はついていると思う。ついてろよ、頼むから。
……ああ、くそ、これでもう完全に「自衛隊、イラクからさっさと帰ろうよ」と言えなくなっちまったじゃないか。何が腹立つって、あの三馬鹿のせいでイラク派兵を肯定する意見に鞍替えしなきゃならなくなったことである。頼むからNGO、もう馬鹿をイラクに送らないでくれ。これで「拉致されても助かるんだ」なんて勘違いしたヤツラが続々乗り込んでいったら、また標的にされるぞ。自衛隊撤退とか直接的な要求が通らないと分かった以上、今後テロリストたちは「ただの報復」のためだけに誘拐、殺人を行うだろうから。
既に新たに、バグダッド郊外のアブガリブ付近で、フリージャーナリストの安田純平さんと、市民団体メンバーの渡辺修孝さんの二人が武装集団に誘拐されている。三馬鹿よりも、彼ら二人の身の方がはるかに危険なのである。そういう状況を作った原因はあの三馬鹿にある。両手を上げて喜んでていいのか。
04月15日(木)
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