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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オタクな本屋にクラシックは似合わない/『TNくんの伝記』(なだいなだ)/映画『デブラ・ウィンガーを探して』ほか
「何してるんですか?」と聞かれたので、「映画の帰りだよ」と二言三言会話。ところが、振り返ってしげとよしひと嬢を紹介しようとしたら、二人とも姿が見えない。さっさとバスセンターに向かっていたのだ。そのままはぐれるわけにもいかないので、女の子たちには早々に挨拶をして、しげたちを追いかける。タイミングよくバスが来ていたので飛び乗ることができた。女の子たちに引っかかっていたら、30分は待たねばならないところだったので、置いてきぼりにされたのがかえってラッキーだったということになるのだろうか。
でもなんかちょっと納得いかないよねえ。
今日もよしひと嬢はお泊まりなので、DVD『オーバーマン キングゲイナー』1巻をお見せする。オープニングのモンキーダンスは予想通りウケて頂いたが、本編は「何がなんだか」である。
設定資料を見なきゃ物語はおろか人物も世界観もつかめない作り方ってのは、若いころはともかくトシヨリにはちとキツイ。とは言えこの人に「もっとわかりやすい作り方を」と要求するのはねえ。ヘンな人にマトモなものを作れと要求するっていうのは、八百屋に向かって肉を売れというようなものである。
トミノさんは基本的に変人なんだから、決して巨匠扱いしちゃいけないのだ。巨匠扱いされたら妙に思想的なもの作りかねないからねえ、この人の場合は。
帰宅が遅くなったので、チャットを覗くのが遅れる。
あぐにさんがお久しぶりの書きこみ。けれど、しばらく実家に帰省されるとのご報告であった(^_^;)。ああ、学生さんには夏休みがあるんだなあ。サラリーマンには遥かに懐かしい過去である。
あぐにさんにもお話できたら何か原稿をお願いしようかと悪企みをしていたのだが、見事にかわされてしまった(^o^)。まあ、ヒトの褌ばかり当てこんでないで、自分でちゃっちゃと更新しなきゃってことだわな。
なだいなだ『TNくんの伝記』(福音館文庫・840円)。
昨年8月から創刊されていた児童文学の新レーベル。私ゃ大学の専門がこっちなんだから、本当はこういうのをもっと読まなきゃなんないんだよなあ。でないと同窓会に出ても話が合わないんである。
「創刊」と言っても、絶版になっていた単行本の新装版(「文庫」と銘打ってはいるが、サイズは17×13センチの新書版よりやや横長)が殆ど、ローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』シリーズやヨハンナ・シュピーリの『ハイジ』、マイケル・ボンドの『くまのパディントン』シリーズなどが再刊されている。
なだいなだ(どんなだ )の本作も、初刊は1976年だが、ようやくこうして廉価版が出た。多分、昔は図書館とかにも結構置かれてたと思うんだけど、私は眼にしたことがなかった。こういう名著にはもっと早く、学生のころにでも触れておきたかったと今更だけど残念。
タイトルに「伝記」とある通り、これは幕末から明治にかけて生きたある人物の実録小説である。
彼、TN君は、1847年に生まれ、1901年に死んだ。土佐の足軽の子に生まれ、長じて渡仏し、ジャン・ジャック・ルソーを学び、帰国して新聞活動を通じて自由民権運動を繰り広げた。「東洋のルソー」と称せられ、著書にルソーの訳書『民約訳解』や、『三酔人経綸問答』『一年有半』『続一年有半』などがある。大逆事件の幸徳秋水は彼の弟子である。
こう書けば、「TN君」が誰なのか見当がつく人もいるだろうが、作者のなださんは、「ぼくの知ってもらいたいのは、彼の名前ではなくて、彼がどんなふうに生きたか、ということだからだ。そのためには、名前なんてじゃまになる」「名前と顔を知れば、なんとなく、その人間をよく知っていると思ってしまう」と書く。確かに、歴史の勉強を通り一遍に流しただけの学校の授業などでは、「坂本竜馬は薩長同盟のお膳立てをした」「勝海舟は江戸城を無血開城させた」「西郷隆盛は征韓論に破れたあと西南戦争を起こした」とか、そんな「出来事の知識」しか得られないだろう。名前はまさしく「知ってるだけ」なのである。こういうのこそ「ムダ知識」だと思うが、どうだろうか。
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07月26日(土)
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