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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■タクシー慕情……演歌だね/DVD『銀座カンカン娘』/『総特集 江口寿史』
監督の島耕二についても、プロフィールから『宇宙人東京に現る』が抜け落ちてるからなあ(^o^)。まあ、大衆向けの映画も作ってたけど、堅実な演出で『風の又三郎』ほか、名作も数多く作ってるんで、アレは抜かした方がいい、とDVD制作のスタッフが判断したのかもしれないけれど。
オープニングが失われているので、資料から起こしてタイトルをつけているのだが、どうもこれに「抜け」があるように思えて、それも不満である。紹介されている曲が『銀座カンカン娘』(高峰秀子)と『わが夢、わが歌』(灰田勝彦)のみというのはどういうわけか。本編では笠置シヅ子が『酔いどれ天使』に続いて『ジャングルブギ』(黒澤明作詞!)を歌っているのに、字幕では無視されているんである。志ん生の演じる題目が「疝気の虫」と「替り目」であることにも一切の記述なし。
新東宝映画をコレクションしようなんてやつはマニア以外にいるわけないじゃん、もっと資料は充実させてほしいよ。
ひと眠りしたら、外は雪。もう2月なので、これがこの冬最後の雪となるか。
しげと深夜のドライブでジョイフルに行くが、車の天井に乗っかっていた雪が、ブレーキをかけるとそのままじわ〜っと、フロントガラスに布団をかけていくように降りてくるのが面白い。
平和なことである。
『文藝別冊 KAWADE夢ムック 総特集 江口寿史』(河出書房新社・1200円)。
澁澤龍彦とか黒澤明、ボブ・ディランなんかを特集してきたこのシリーズに、いきなり江口寿史が乱入(^o^)。マンガ家としては、岡崎京子に次いで二人目である。凝ったセレクトしてくれるよなあ、河出。
書き下ろしマンガのタイトルが『今日までそして明日から』である。もしかして江口さん、『オトナ帝国』を見たのかな、と一瞬思ったが、この人の世代なら、吉田拓郎はど真ん中なので、別にアレを見てなくても自然にこういうパロは出て来るのだろう、と思いなおす。
特別対談の相手が山上たつひこで、これはもうギャグマンガファンなら買わずにいられるかってなものであろう。
山上たつひこが永井豪の『キッカイくん』などに触発され、江口寿史が山上たつひこの『がきデカ』に影響を受けているのに、江口寿史は永井豪に全く笑えなかった、という、明らかに「世代」によるギャグ感覚の断絶が見て取れるのが面白い。そして二人とも、赤塚不二夫『天才バカボン』については、面白いけれど文法破壊の仕方に無理がある、と断じているのである。
で、二人とも、ストーリーマンガより、ギャグマンガの方がはっきり「上」だと認識している(^o^)。
これは全く正しい。イマドキの、ストーリーマンガにこじゃれたユーモアがちょびっと混じる程度のマンガしか知らない若い世代には、マンガの王道はギャグである、というかつての「常識」が既に通用しなくなっているのである(それは手塚治虫と梶原一騎のせいなんだけど)。
だったらなおのこと、この二人にはマンガを描いてほしいんだがな(⌒ー⌒メ)。ともかく、ギャグが“難し過ぎて”理解できなくなっている若い人たちにギャグとは何かを実作で示せる人が、今ほとんどいなくなってるんだから。
単行本未収録作品の掲載は『うなじ』。
誰もが一度は挑戦してみたくなるフランツ・カフカの『変身』のパロディだが、中年オヤジがいきなり女子高生になるのである。しかもパニックに陥るどころかすぐに順応しやがるし。おかげで色気づいた息子は父親をみておっ立つし、妻は「なによう、私だって昔は女子高生だったんだから!」と泣いて実家に帰る。泣いていいんだか笑っていいんだか(^_^;)。
しかしこの人には未収録作品があといくつあるんだろうか。(2003.3.4)
02月05日(水)
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