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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■S(エス)の悲劇/DVD『みんなのいえ』/『ブレーメンU』4巻(川原泉)
 こんな「主役を目立たせるいいアイデアが思いつかなかった」ことが露骨に判るくらいなら、そんなシーン、カットした方がマシだ。

 ほかのキャストにも触れよう。
 野際陽子・吉村実子・清水ミチコ・山寺宏一・白井晃・伊原剛志・江幡高志・井上昭文・榎木兵衛・松本幸次郎・松山照夫・八名信夫・香取慎吾・中井貴一・布施明・近藤芳正・遠藤章造・田口浩正・梶原善・真田広之・戸田恵子・梅野泰靖・和田誠・小日向文世・松重豊・佐藤仁美・大塚範一・エリカ・アッシュ・明石家さんま。
 なんだなんだ、この豪華キャストはって感じだが、ほとんどがワンカットだけの特別出演である。
 ところが問題なのは、ほとんど出ずっぱりの職人たちにマトモなセリフ、マトモなドラマが与えられていないのだ。江幡さんはそれでもある重要なシーンを任されているが、榎木さんに至っては全くセリフなし。いや、セリフがなくても、この職人たちがいろいろデザイナーに「絡む」シーンがあれば、当然ドラマは盛りあがるのだ。それがない。おかげでチョイ役出演の香取慎吾や明石家さんまのほうが印象に残ってしまう始末だ。これはもう三谷さんは「間違ってる」と判断するしかない。
 野際陽子と吉村実子の二人のお母さんだって、もっともっとドラマに絡めることができたはずだ。キャラクターは「風景」じゃないんだよ。

 クダクダ書いちゃったけど、もしかしたらほとんどの人がこの映画、冒頭のギャグシーンで見る気なくしちゃうんじゃないか。
 主人公の娘婿は放送作家、という設定である(ドラマに関しては全く必然性がない)。
 その作家が考えたスケッチが、冒頭で流れるのだ。

 マンションの一室の前で、管理人や住人が集まって一人の男を責めたてている。
 「何かヘンなもの飼ってるでしょ!」「ここはペット禁止なのよ!」
 男はドアに張りついて「何も飼ってません!」と否定する。
 中を覗いた住人の一人が叫ぶ。「アっ何か動いた! トカゲのシッポだ!」
 誰かがカメラのフラッシュを炊く。
 男が悲鳴を上げる。「やめてくれ! 光は嫌いなんだ!」
 突然、中から何かが飛び出して逃げて行く。
 それは一匹のゴジラだった。

 ……何かコメントが必要ですか?


 今日はしげ、早目に練習から帰宅。
 いつもはたいていどこかをふらついて帰ってくるのに、珍しいことだ。少しは私の体を気遣ってくれてるのかなあ、と思ったが、別に看病しようって気配も見せない。
 要するに自分もからだがキツイから帰って来ただけか。

 練習の様子を聞いてみるが、どうも私の書いた脚本、「説明し過ぎ」とのことである。
 第一稿の段階で「意味不明だ」と言われたから、仕方なく説明のセリフを増やしたのに、ワガママなことである。
 それぞれのキャラクターにも見せ場を増やしたのに、「あるキャラクターがあるキャラクターだけに関わりすぎてるのではないか」という文句も出たそうな。それがバレないように前の脚本では「さりげなく」書いてたのに、「説明」をしちゃえばどうしてもそうなるのである。
 でも、意味さえ通れば「このセリフ、説明し過ぎだから削ろうよ」ってことにもなろうから、こういう過程がどうしても必要になるのである。

 穂稀嬢、前回「ヤマさん」のことがわからなかったと書いたが、「アベサダ」も知らなかったそうな。いや、そういうセリフ書いたんだけどね。どういうシーンで使われているかはまだヒミツだ(^o^)。
 でもなあ、私の脚本にもともと「古いネタ」が多いことは自覚しちゃいるけどさあ、「アベサダ」を知らないってのは、いくらトシが若いからって、ただの無知じゃないの?(若いと行ってもハタチは過ぎてるんである)
 いや、もうずっとセンから、穂稀嬢がまれに見る無知女だということは聞かされてたんで、実は脚本でも「まれに見るモノ知らず」役を振ってるんだが、もちろんこれは地で演技できることを狙ってるからである。全く、脚本家とか演出家って類の人間は極悪人である。

 けれど、脚本中にあった「S」というセリフは、全員から「意味伝わらないからやめようよ」ということになったらしい。

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01月19日(日)
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