ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491718hit]

■まあ、冷静な人間なんていないんだけど/『小説ウルトラマン』(金城哲夫)ほか
 クリストファー・ロッカンドールだかロッテンベリーだか名前は忘れたが、フランス生まれの詐欺師が、財閥の御曹司、プロデューサー、FIレーサーを名乗り、ミッキー・ロークを始め、ハリウッドの有名人たちから総額30億円以上を巻き上げたエピソード、ダマされたとわかった後のロークの落胆して呆然とした顔をおおっぴらに映してたが、やっぱ向こうでも嫌われてるのかね、あの人。日本じゃ例のボクサー転向騒動で、役者どころか人間としての株も下落しまくりなんだが。
 それでも一応、金は持ってたんだねえ、カモられるくらいだから。映画にも出てないのに小切手でン万ドルも切るなよ。それだからますます嫌われるんだ。
 それなりに金もあって成功した人間がどうしてコロッとダマされたかっていうと、やっぱり「見せガネ」の効果が大きいんだね。
 「今、十万ドルしかないんで、百万ドル貸してくれないか」
 ……仮に私が百万ドル持ってても、こんな言質にだまされるとは思えないけど、やっぱハリウッドの人間って、「お里が知れてる」んだろうね。
 詐欺がバレたきっかけってのが、うっかり出しちゃった安ワインの味を高級ワインと間違えたってんだから、本物のワインがわかるハリウッド人だって実は少ないってことなんだろう。教養ってのはやっぱり必要なときもあるんである。もっとも、川島なおみに教養があるとも思えんが。


 『キネマ旬報』10月上旬号。
 訃報記事がいつもよりやや多い印象。新聞は丹念に読んでるつもりだったが、日高澄子、御木本伸介両氏の死去には気付かなかった。もっとも、このお二人のお顔がさっと出て来ない。相当数の映画に脇役として出演しているので、名前は記憶しているのだが、どのお顔の方であったやら、とウロオボエなのである。こんなんじゃとても映画ファンとは言えない(-_-;)。
 『女王陛下のOO7』の監督、ピーター・ハント氏も死去。あれは原作に最も忠実な映画化であったにもかかわらず、ボンド役者がショーン・コネリーからジョージ・レイゼンビーに変わったために、不当に低い評価を与えられている。そのせいか、主役も監督も、『OO7』シリーズの連続当番はなかった。
 でも、ボンド唯一の結婚話だし(ダイアナ・リグって、昔はあんなにかわいかったんだ!)、テリー・サバラスの憎々しいブロフェルドぶりと言い、捨て難い一本だったんだけどなあ。
 1ページを割いて、鈴木伸一氏がウォード・キンボール氏の追悼記事を寄せている。本来、アニメ雑誌こそがこの人の特集をグラビアつきで記事にせねばならんというのに。アニメ雑誌作ってる連中が本気でアニメが好きなのかどうか、疑りたくなってくるのはこういうときだ。


 金城哲夫『小説ウルトラマン』(ちくま文庫・882円)。
 『ウルトラマン』の生みの親、金城(カネシロなんて読むなよ、キンジョウだ。本当はカナグスクかもしれんけど)哲夫自身の手になるジュブナイル。こんなの書いてたとは知らなんだ。子供向けだから深みはないが、主要エピソードはキチンと押さえてある。
 テレビ版と違った設定もいくつかあって、その中でも最たるものが「宇宙人会議」によって地球攻撃が決定される下り。藤子Fさんの『征地球論』よりこっちのほうが早いな。『スーパージャイアンツ』でも宇宙人会議の描写はあったが、あちらは地球を守るためのもの。
 議長がメフィラス星人、というのはいかにも納得、というところだけれど、「3分以上闘いを長びかせて、かれが動けなくなるしゅんかんをねらっておそいかかればよい」と提案すると、誰か分らない宇宙人が「闘いが長びきそうになると、かれはきまって、逃げ出してしまうのだ」と突っ込む。……ウルトラマンって、そんなにしょっちゅう逃げ出してたっけ(^_^;)。スカイドンのときは確かにそうだったけど、あれは実相寺演出だしなあ。
 ほかにもジェロニモンが宇宙怪獣だったり、ゼットン星人はやっぱり名前がなかったり(「謎の宇宙人」だそうな)、小説版独特の描写が楽しい。けど、バルタン星人の笑い声を「ウヒウヒウヒヒ」とか「ケ、ケ、ケ」と書くのはちょっとなあ。やっぱりあれは「フォッフォッフォッ」とか「ヴォッフォッフォッ」でしょう。 

[5]続きを読む

09月25日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る