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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■癒してくれなくていいってば/映画『怪盗ジゴマ 音楽編』/『夏のロケット』(川端裕人)ほか
 エンディングテーマの雛形あきこ『SIX COLORS BOY』はすっげえ名曲なんだけれども、何度練習しても音程をうまく調節できなくて歌えない。男が歌って楽しい曲でもないんで、しげが歌ってくれると嬉しいんだけどなあ。……ってカラオケにそうそうしょっちゅう行く余裕はないのだけれども。

 音楽に飢えてるのかな、ついでにビデオ『怪盗ジゴマ 音楽編』も見返す。
 和田誠のアニメ、というより、寺山修司の短編ミュージカルに監督の和田誠自身が「曲」をつけたという、もう私にしてみればこんなゼイタクな作品はないってなくらいの傑作なんだけれども、当然、カラオケにこんな曲が入ってるわけもない。
 由起さおりの演技力は、『家族ゲーム』やドリフのコントや『お江戸でござる』なんかでも証明ずみだが、その最高傑作はこのアテレコだと断言する。最初にこのアニメ見たのは広島アニメーションフェスティバルでだったけれども、前説に出てきた和田監督が、「キャスト見たら驚きますよ」と言っていたのが、事実、「由起さおり」の名前がテロップで出た途端に「おおおおおっ!」と歓声があがった。
 全詩をご紹介したいところだが、怪盗ジゴマに盗まれた、少女の歌を一曲だけ。

 呼ばないで 流れ行く雲を
 呼ばないで さすらいの町を
 ああ 呼ばないで 私の名前を

 呼ばないで 悲しい酒場を
 呼ばないで 古いピアノを
 ああ 呼ばないで 私の名前を

 いくら呼んでも振り向かない
 私の心は闇だから 闇だから

 ……実は私が寺山修司ファンになったのは、この詩に感銘したからである。闇を持つ女じゃなきゃ、魅力なんてないよな(だから誰に同意求めてるんだよ)。


 マンガ、細野不二彦『ギャラリーフェイク』25巻(小学館/ビッグスピリッツコミックス・530円)。
 表紙のフジタ、クチビルがえらく赤くてカマっぽいんですけど、何かあったんですか、細野さん(^_^;)。
 「ジョコンダの姉妹」を読んで初めて知ったのだけれど、盗難にあった美術品は、それと知らずに購入して二年経つと、もとの所有者に返さなくていいって法律があるんだね。しかもそんな泥棒天国な法律作ってるの日本だけなんで、美術窃盗犯は、せっせと絵画なんかを日本に持ちこんで「二年間」寝かせてるんだとか。
 こりゃアレだね、そんな法律が有効だってことは、もしも「盗難されたものは須らくもとの持ち主に返さなければならない」って法律ができちゃったら、お偉いさんで、コレクションを手放さなきゃならなくなる奴がやたらいるってことなんだろうね。でもそれだけ日本人には本当の審美眼がなかったってことじゃないの。ツケは返そうよ。
 ……って全然作品批評になってないけど、最近は知識的な好奇心でしかこのマンガ、読んでないからなあ。どうしてもこういう感想になっちゃうのよ、ご勘弁。


 川端裕人『夏のロケット』(文春文庫・670円)。
 あさりよしとおのマンガ、『なつのロケット』が本作の影響化に書かれていたことは知っていたのだが、実はそれほど期待していたわけではなかった。改作されたマンガがおもしろかったからと言って、そのもとネタたる小説もまたおもしろいとは限らないからである。
 ……いや、狭量な考えでした。これもまた「男の子必読」の小説です。と言っても女性を差別するわけではないけれども、「なぜ人は宇宙を目指すのか?」という質問に対して、「考えるまでもない、そこに宇宙があるからだ」と言いきれる人間でないと、この小説、楽しめないのではないか。

 新聞社の科学部担当記者である「ぼく」=高野は、過激派のミサイル爆発事件を調査しているうちに、そのミサイル製造に、かつて所属していた高校天文部の友人が関わっているのではないか、と疑問を抱くようになる。
 「ぼく」と四人の仲間は、かつて、本気でロケットを打ち上げようとしていた過去があったのだ(もちろん非合法)。そして今、オトナになり、科学者、技術屋、企業家、歌手となった彼らは再び結集し、「個人レベルで飛ばせるロケット」の開発・打ち上げを計画していた。
 いつか火星に行くために。


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06月20日(木)
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