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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■VS借金取り(^o^)。って、笑ってる場合かよ/『卓球戦隊ぴんぽん5』(桑田乃梨子)ほか
で、美人弁護士役が田中“ゴジラ×メガギラス”美里。
てっきり法廷ものになるかと思ったら、途中から痴漢に間違われて自殺した会社員の謎を、裁判ほったらかしで追いかけることになるアクロバットな展開。……っつーか脚本がデタラメだよ、これ。
石野真子と故・伊藤俊人さんが出演していたので、つい見ちゃったけど、こんなテキトーなのが伊藤さんの遺作だとしたら悲しいなあ。
マンガ、桑田乃梨子『卓球戦隊ぴんぽん5』(白泉社文庫・630円)。
おおおう、ついについに、くわ太さん(←桑田乃梨子さんの愛称だよ)が文庫に!
でもてっきり、『ひみつの犬神くん』か『おそろしくて言えない』が先だと思ってたけどな。特に『おそろしくて』はCDにまでなったし(塩沢兼人さん主演。合掌)。けれど出たら出たで、あとがき書き下ろし魔の桑田さんのことだから、また、オマケマンガ描いちゃうんだろうな。実際描いてたから新書版持ってるのにまた文庫版まで買っちゃったわけなんだけども(もっとも買ったのはしげだ)。
しかし、オマケマンガが描ける、ということは、それだけキャラクターに「余韻」があるってことでもあるのだ。桑田さんの物語は、一応の結末を迎えはするのだけれど、いつも「このキャラはこれからどうなるのかな?」ということが気になる。このマンガも、なんたって連載時は「ぴんぽん5」が結成されるところで終わっていたのだ。……これから話が始まるとこやん。というわけで、短期連載された続編、『超卓球戦隊ぴんぽん5R』と『合宿戦隊ぴんぽん5』、それに描き下ろし『戦隊だもの』を加えて全1冊に構成した「完全版」がこれ。でも、描き下ろし加えても、まだ「先」がありそうな感じで終わってるんだよなあ。主役の兄まで登場させるし(主役が裕次郎だから兄さんは当然、慎太郎。弟が軟派だから、兄さんは……って結構アブないネタになりそうだよ、コレ)。
……続編描こうよ、桑田さん。タイトルは『卓球戦隊ぴんぽん5すーぱーず』とかで(^o^)。
昨日の『横溝正史に捧ぐ新世紀からの手紙』の続き。
乱歩と正史の因縁は更に続く。
戦後の金田一耕助のシリーズ化は、かつての明智のシリーズ化の時と実に事情が似ている。初め、シリーズ化の予定がなかったのを、増刷が出るほどのヒットを飛ばし、金田一は続編が書かれるようになった。類似点はそれだけではない、金田一の第一作『本陣殺人事件』、第二作『獄門島』と続くあの傑作群を、江戸川乱歩は手厳しく酷評したのだ。曰く、「殺人の動機が不自然過ぎる。もっと穏便な方法がとれたはずだ」。
……ハッキリ言って、難癖に近い。その穏便な方法が取れないことが『本陣』のメイントリックと言ってもいいので、それを否定されたとなれば、他の点をどんなに誉められても「駄作だ」と言われたのと同じだからだ。
その批評を読んだあと、正史が「エドランめ、エドランめ」と絶叫して激怒する様子を、家族が目撃している。正史は、「もうそろそろパクってもよかろう、もう自分は江戸川乱歩を越えたのだ」と思っていたところに、「動機が弱い」などと言われて、乱歩がかつて自分に作品を酷評されたことの復讐をしている、と感じたのではないだろうか。いや、それまでにも乱歩は、正史の『真珠郎』などを「本格探偵小説ではない」と切って捨てていたのだが、自信作をそこまで断じられた場合、恨みは骨髄だろう。
もちろん、そこには愛憎両方の感情が渦巻いていると思われる。乱歩に負けたくない、乱歩を落とし入れたいという思いと、乱歩にもっと書いてほしい、叱咤激励したい気持ちも当然あっただろう。
実際に戦後の乱歩は、『怪人二十面相』シリーズのほかはほとんど小説を書かなくなっていた。雑誌『宝石』の編集長となったことをきっかけに、正史に対抗する気概に燃えて、ようやく長編本格探偵小説『化人幻戯』を書いた。そして、通俗アクション小説の主役となっていた明智小五郎が、初期の理知的な名探偵として帰ってきたのだ。
誰もがこれを誉めそやし、乱歩に次作を書かせようとした。しかし、乱歩の「誉められないと書かない」クセを知らない若手作家が、あるとき『化人幻戯』を酷評してしまった。
乱歩の本格探偵小説は、これが最後になった。
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06月19日(水)
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