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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■大宰府の赤い橋/DVD『幕末未来人』1〜3/DVD『ピンクレディ&ジェフ』
 風が少し強かったので、買ったパンくずが吹き飛ばされてなかなか池に落ちない。しかたなく、大きめにパンをちぎって投げ入れると、鯉がもう、寄ってくるわ寄ってくるわ。とても一口じゃ食いきれなかろうってほどの大きさなのに、突っつきあってるうちに手ごろな大きさになってくから面白い。面白がってるのは私だけで、しげは退屈かもしれんが。
 池には亀もいて、鯉と競争するとやっぱり負けるのである。できるだけ亀にエサがいくように投げるが、そのたびに鯉に横取りされている。弱肉強食の原理からいけば、こんなトロいカメが長生きというのも理不尽な気がするが、あまり食わずにすむからこそ長生きできるのかも。
 食うやつほど早く死ぬなら、食わなきゃ食わないほど長生きできるのか。中国の仙人思想ってそういう発想から生まれたのかもな。こういうどーでもいいことを考えていると、何となく休日っぽい気分になってくる。
 帰りにタコ焼きとヤキトリとコロッケを買って、車の中で食う。なんとなくピクニック気分である。こういうチープな食事が、縁日の醍醐味であろう。今日は別に縁日じゃないけど。

 せっかくここまで来たのだから、近所の都府楼跡にも回ってみる。ここが本来の太宰府である。
 といってももう、土台の石しか残っていない。それも、見たところ発掘したあとになって並べられたものも多いような感じだ。どうせなら何十億かカネ掛けて、都府楼の建物自体、復元したらどうかと思うが、そこまでの予算は大宰府市にはないのだろうな。あちこち「まほろばの里」とか、市全体で観光地を売りものにしていながら、もう一つ目玉をって気にはならんものかね。
 そんな訳で、今は日向ぼっこのための広場みたいな感じになっていて、今日も手作りのグライダー(ゴムで飛ばすやつな)で遊んでるオジサンたちが数人来ている。
 こういう何もないような所を、ただぐるっと散歩したりするのがしげは好きなので、結構気に入った様子。側溝の水に入って遊びたそうだったが、ツッカケで来ているしげはともかく、穴の空いた靴履きの私は一緒になって入るわけにはいかない。っつーか、一応史跡なんだから、そういう遊びはマズいような。
 しばらくブラブラして帰宅。
 しげ、「またお出かけしようね」と言うので、「しょっちゅう出かけてるじゃん」とぶっきらぼうに言ったら、「だから、映画とかじゃなくて、こういうの!」と怒る。
 こういうのもどういうのも、これだけ一緒につるんでて、まだ不満があるというのが、贅沢というものだと思うんだがなあ。


 帰宅しても、しげはまだ何か物足りなげに、「一緒に何かビデオ見る?」と聞いてくる。「何かを見よう」じゃなくて、「見る?」と、私に責任をおっかぶせてくるのがヒキョーだが、私もゆっくりしたかったので、買ったまままだパッケージも開けていなかったDVD『少年ドラマシリーズ 幕末未来人』1〜3巻を一気に掛ける。
 本放送は1977年(昭和52年)。これをリアルタイムで見てたの、もう25年前になるのか。感覚的にはついこの間なのに、なんだか信じられないな。
 けれど、今や疲れたオバサン顔になってしまった小手川祐子の凛々しい美しさや、顔出ししていた納谷悟朗のシワのない顔なんかを見ていると、確かにそれだけの年月が経ってしまったことを実感せざるを得ないのである。再放送の機会がほとんどなかった本作などは、いくらなつかし番組の好きなしげとても、さすがに幼すぎて見ていない。少年ドラマシリーズの中でも脚本・演出がしっかりしているほうなので、今見ても面白いようだ。
 原作は眉村卓。テロップには「『思いあがりの夏』より」とあるが、これは当時の短編集の表題で、実際の原作は所収の『名残の雪』。原作の方は大人向けの小説で、かつて幕末にタイムスリップしたことのある主人公の回想、という形になっている。ドラマの方は、その帰ってきた現代のことを一切省いているので、本放送当時は随分物足りなく思ったものだったが、今、見返してみると、あの唐突な終わり方のほうがかえってこれからのシビアな現実を予感させていいんじゃないか、という感想に変わってしまった。年月が経つと本当に見方が変わるものである。

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06月15日(土)
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