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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ジンクス再び/『ジャングルはいつもハレのちグゥ』9巻(金田一蓮十郎)ほか
「はにゃ〜(「はい」のつもりらしい)」
「でさあ、このこと、其ノ他君にも伝えてもらいた……」
「今、隣で寝てるよお、替わろうかあ?」
……だと解ってるから「伝えて」と遠回しに言っているのに(-_-;)。えい、なんで休日の朝っぱらから、他人の睦言、聞かされなきゃならんのだ。其ノ他君も電話の向こうで寝惚け声出してんじゃねー。凸(-~~- )。
ともかく、今日は一日、しげについていてやるしかない。
冷蔵庫に残っていたありあわせの材料で、朝はスコッチエッグのハヤシライス(冷食)、昼は鶏肉をネギとナメタケと一緒に炒めて、中華スープをかけた丼にして出す。
「美味しい」と言って食べはしたが、しげ、「食べきれない」と言って残す。
ううむ、しげが食事を残すとは、ケガの痛みが腹の調子まで悪くしちゃったのか?
左足の腫れ、昼を過ぎても引く様子がない。湿布を取り換えてやるが、看護婦さんが貼ってくれた湿布、端に切れ目を入れてあって、足の甲の曲線にピッタリ合うようになっている。
おお、これはうまい手だと、しげにもそうしてやる。
しかし、本当は痛いんだろうけど、湿布を貼られてる最中、しげは「うひひひひいいい!」とか「はううううう!」とか、「ちべてええええええ!」とか、アホな叫び声しかあげない。
だんだん心配してやるのがバカバカしくなってきた。
「ともかく寝ろ!」と厳命したら、食ったあと、しげはコテンと眠った。
寝ててもアホは治らんだろうが、少なくともケガだけは治る。めんどくさいからさっさと治ってほしいぞ。これじゃ「公演があるたびにしげは足をケガする」ってジンクス、出来ちゃうじゃないか。
夕食はさすがに食料が尽きたので、近所のほか弁まで出かける。
チキン南蛮とか焼肉とか買って帰ってくると、何と鴉丸嬢、其ノ他君、つぶらや君が来ている。
しかもしげ、立って話ししてるし。
「何立ってんだよ! 寝てろって言ってたろ!」
三人に挨拶するより先に、思わず怒鳴った。慌てて寝室に引っ込むしげ。
どうやら携帯で連絡を取り合って、練習が終わったあと、「見舞いに来る」ことになったらしい。全く、人の目を盗んで、いつの間にそんなマネを。
便利かもしれないけれど、管理しなきゃならないときにそれができないって点では、迷惑なことも多いんだよなあ、携帯。
鴉丸嬢は台所で、何やらおさんどん。
洗い場で食器を洗ったあと、ホイップたっぷりのケーキを作っていた。
……気持ちはありがたいけどな、病気とかじゃなくてケガなんだから、少しは状況を察してもらいたいもんだよ。いい加減、つきあってて分らないのかなあ、しげがホントに馬鹿なんだってこと。
足が痛くても、薬でいったん痛みが押さえられれば、「治った」と勘違いするくらい馬鹿なんである。見舞いに来られりゃ、落ちつかなくってチョロチョロ動きたがる。そうなると押さえが利かないのだ。
子供を相手にしてるのだ、ということ、わかってほしいんだけど……って見舞いに来る方も子供だから仕方がないのか(-_-;)。
なんだかもう、こちらの方が機嫌が悪くなってしまって、せっかく来てくれた三人には悪かったけれど、私は始終、少しばかり無愛想であった。
東京で買った土産物なんかを三人に見せたりする。
しげをおとなしくさせとくには、三人の注意をこっちに引きつけといた方がいい。しげがときどき寝室の方から「ふやああああ」とか淋しげな声をあげているが、知ったことか。
スーパーフェスタやジブリ美術館の話をすると、本気で羨ましがられる。ウチの劇団の連中はたいていがオタクだし、将来、そちら方面の道に進みたいと考えてるやつも多いのである。
開田裕治さんデザインの「電柱Tシャツ」を着て、其ノ他君に「これは正直者にだけ電柱の向うにガメラが見えるTシャツなんだよ」と説明するが、なんのことかわからず、キョトンとされる。うーん、イキなデザインだと思うんだけどなあ。
鴉丸嬢に、「ビッグサイト、韮山さんとか来てたよ」とか言うと、声が半音階上がって、「来てたの!?」と泣きそうな顔になる。
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05月03日(金)
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