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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■疲労度の爪/『コミック伝説マガジン』No.6ほか
 もう一人のデロリンマン、救済の象徴がデロリンマンとすれば、絶望の象徴がオロカ面だ。ところが皮肉なことに、○○○○でホームレスという「異界の住人」と化したデロリンマンの言葉は、人々には全く届かない。そして彼に「絶望こそが救い」と語り続けるのが、「デロリンマンにしか見えない」オロカ面なのだ。
 デロリンマンの言葉はどうしようもなく偽善だ。
 ○○○○になってもなお偽善にすがらねばならない人間の現実は余りにも悲しい。
 しかし、自殺も死も、実は欲の産物に過ぎないとオロカ面は語り、デロリンマンを追いつめる。彼の言う「絶望」とは「死」をもまたささやかな希望と否定し、「ただひたすら存在を否定され続けることを受容せねばならない永劫の苦しみ」だと訴えるのだ。
 だいたい、オロカ面の言うように「全ての欲」を捨てたならば、生きることも死ぬことも不可能なのだ。そんなアンビバレンツを抱えていることを受容することは確かに死をも超越した苦しみだろう。
 そう、我々は「愚か者」の仮面を脱ぐことは出来ない。
 脱げばその先には「デロリンマン」という狂気が待っているだけだ。
 ……ってこんなマンガ、小学生時分に読まされてたのかよ、オレたち(^_^;)。こまっしゃくれたガキがひねくれたオトナに育つのもわかるなあ。マンガの影響は偉大だ。
 もしもみなさんが少しでも『デロリンマン』に興味を持ったなら、『浮遊雲』を読むよりも、『灰になる少年』や『ザ・ムーン』を手に取ってほしい。『銭ゲバ』や『ピンクのカーテン』や『ラブリン・モンロー』でもいいよ。『シャカの息子』や『海人ゴンズイ』はアレだが(^o^)。
 ジョージ秋山という作家が一筋縄ではいかない人だということが解ると思う。

05月01日(水)
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