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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■東京再訪@/三鷹の森ジブリ美術館/アニメ『くじらとり』ほか……“NEW”!
 こうたろう君の娘さん、東京タワーのマスコットキャラらしい、「ノッポン」とかいうのに熱心に見入っている。細長いピンクのウンコかコ○○○ムにしか見えない妙ちきりんなキャラだってのに、コドモはこういうの好きだよなあ。しげは「エイリアンがいた!」とか言って(土産グッズ屋にいたらしい)、私の後ろに隠れているが、なんでこのトシになっても着ぐるみ怖がるかな。


 次の目的地は、三鷹の森ジブリ美術館。
 2時からのチケットを買ってもらっているのだが、渋滞を考えて、早めに到着。1時間ほど、太宰治の心中現場である玉川上水などを散策する。
 「……こんなとこで太宰死んだの? 狭いじゃん」
 「ほかに死ねるとこいくらでもありそうだよな」
 「やっぱ太宰、自分だけは助かる気でいたんだぜ」
 「女にしがみつかれて、助かりそこなったんだよ」
 こうたろう君と私の全く不謹慎極まりない会話だけれど、多分、これは当たっていると思う。
 茶店のようなところで、昼の軽い食事と乾杯。
 みんなで焼きそば、カレーなど。しげは「サクラアイス」を頼んで、「さくら餅の味がする!」と喜んでいる。……って、さくらんぼの味じゃないのか。

 「ほら、お姉ちゃんにバスを教えてあげな」
 こうたろう君が息子さんに向かって呼びかける。駅から美術館までのトトロバスが通っていたのだ。
 お姉ちゃんというのはしげのことだが、必然的に私はお兄ちゃんと言うことになる。しげは「それは間違ってるよな」と言うが、しげももうすぐ「おばさん」のトシになるのだ。自分だけを棚に上げてはいけない。

 ようやく2時になって、美術館の中へ。
 入口に「撮影禁止」の説明書き。
 「開館したときは撮影は平気だったんだがなあ」
 と、こうたろう君、首を捻る。こうたろう君一家は、もう以前に一度、ここに来たことがあるのだ。
 こんな措置が取られたのは、多分、マナーの悪い客が増えたせいなんだろう。実際、「禁止」されてる今でさえ、中で写真撮りまくってる客が多いことと言ったら。これで子供に「マナーを守れ」と教える気なら、そりゃ筋違いってもんでしょ。
 私は素直にロッカーにカメラ入れちゃったけど、それが正しいからとか、自分だけは善を貫くとか、そんな大層なこっちゃない。フツーのことです。
 映画や土産物屋は満杯だったので、まずは展示物を見て歩こうと思ったのだが、こうたろう君の息子さん、まずは「アレ」を私に見せたかったらしい。
 「こっち来て!」と言って、螺旋階段をとっとこ上っていく。
 ……年寄りにはちょっとキツイぞ。一気登りは(-_-;)。

 『天空の城ラピュタ』のロボット兵(『さらば愛しきルパン』のラムダと言うべきか)、パンフには「守り神」とあるが、これがこの美術館のテーマのシンボルであるだろう。
 屋上に吹き曝しの、誰でも触ることのできる、鉄製の、5メートル近い巨大なロボット。そのつなぎ目の隙間からは草が生えている。
 この像は、決して「保存」を目的としてはいない。
 人が触れ、風雨に晒され続けて、この像はどんどん古び、壊れていくだろう。それが目的なのだ。
 人目に触れず、保存と見栄と財テクだけを目的とした美術品の死蔵とは、全く逆のコンセプトでこの像はここにあるのだ。
 私もこのとき、この像に触った。冷たいのに、なぜか温かい気がする。
 叩くと、コンコン、と鈍い音がした。
 もし、数年して再びここに来ることがあるとしたら、またこの像はほんの少し、姿を変えているだろう。
 どこかが壊れ、どこかが傷つき。
 時の流れと人の営みと、それをともに見守り続ける、字義通りの「目守り(まもり)神」。確かにこの像にもう一度「会いに」来たい。
 そう思わせる何かがあった。

 アニメの部屋の展示物の殆どが、各種のゾーエトロープ(驚き盤)、ないしはパノラマ、というのは、アニメが本来「見世物」であったころの記憶の再現だ。
 うーむ、腐っても宮崎駿(^o^)、アニメの美術館が何を見せるべきかってのがわかってるんだなあ。

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04月27日(土)
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