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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■愛のタコ焼き情話/『八戒の大冒険 2002REMIX』(唐沢なをき)/『ダルタニャンの生涯』(佐藤賢一)ほか
 いやあ〜、濃い濃い。暑苦しさでは島本和彦とタメ張るんじゃないか、このマンガ。なんたって表紙がいきなり劇場版『機動戦士ガンダム』ポスターのパロだよ。しかもコスチュームは黒い三連星でドム背負ってるし。
 でもいるよな、おたく教師。授業中に関係なくアニメの話題振ったりするやつ。それで生徒の歓心を買えるんじゃないかとか考えてるのがミエミエなのがお笑い種だけどさ。
 いっそのこと、このマンガの主人公、暴尾亜空(あばおあくう……なんだかなあ)のように「おたく話しかしない」ってとこまで振り切ってくれりゃかえって楽しいのにな。すぐクビだろうけど(^^)。
 ……はい、ここでテストです。
 次にあげる10個のセリフのうち、四つ以上になにか「響くもの」を感じた人、あなたは立派なおたくです♪
 1、「知識を語るな愛を語れ!」
 2、「みやむー!!」
 3、「ジオンは負けてないから」
 4、「愛の前に体型なぞ無関係」
 5、「ごめんね普通じゃないんだよ、オレドムおたくだもの」
 6、「ロボットじゃない、モビルスーツと言いなさい」
 7、「アニメおたく全員がロリコンってわけじゃないぞ……まあ100人中99人はロリコンだ」
 8、「生身の女性に興味ないんだオレ」
 9、「人を好きになるのにジオンもロシアもないだろう」
 10、「お前を変態にしてしまうその衝動こそ創作者の真の資質」

 ああっ! 全部響きまくりっ! オーマイガッ! 
 ……墓穴掘りだよな、私って(-_-;)。

 では追加テスト。
 次のセリフで連想するセリフを答えよ。
 「諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだッ!! なぜだ!!」
 答えを知りたい人は単行本、買うようにね。自分をおたくだと認識してる諸君、意外と外れるかもしれないぞ(^_^;)。 


 佐藤賢一『ダルタニャンの生涯 ―史実の「三銃士」―』(岩波新書・735円)。
 アレクサンドル・デュマの『三銃士』シリーズで有名なダルタニャンが、実在の人物である、程度の知識はあった。三銃士のアトス、ポルトス、アラミスも同様であることも。
 しかし、その実像については全く知らなかったので、作者が作家の佐藤賢一というのが気にはなったが(作家はたいてい実録であっても粉飾するから)、ともかく読んでみる。
 確かに、ガスコーニュの「現在の」田園風景の描写(当時のでなきゃ意味ないじゃん)や、ダルタニャンを「我らが主人公」などと呼ぶ気取った書き方に、むだな粉飾を感じないではないが、史実を堅苦しく感じさせないための脚色、ということで、うるさく感じる一歩手前でなんとか留まっている。やはり気高き「銃士」を描くには、それなりの文体が必要だというところだろうか。

 ダルタニャンは実はダルタニャンではない。
 それは母方の姓、勇気あるガスコンの名家であることを謳うためにあえて名乗った偽名であって、ダルタニャンの本名は「シャルル・ドゥ・バツ・カステルモール」。
 アトス・ポルトス・アラミスもそれぞれ本名は違うし、まるで『三国志』の「桃園の誓い」を真似たかのような4人の友情も、どうやら史実ではなかった模様だ。彼らが同時期に銃士隊にいたことは事実のようだが、4人がともに行動したエピソードが全く残されていないからである。
 さらには、フィクションでは王権を揺るがす悪の権化であるリシュリュー枢機卿(史実のリシュリューはさっさと死んでいて、ダルタニャンの時代にはマザラン枢機卿に代替わりしている)と対立し、あくまでルイ14世のために働くその颯爽ぶりとは正反対で、なんとダルタニャンはマザラン枢機卿の子飼いの部下として働いているのである。
 『三銃士』ファンはそれを聞くと、虚構と現実の落差に幻滅してしまうかもしれない。しかし、史実は、本当に虚構に比べて「夢のない」ものであるのだろうか。
 大岡越前は天一坊事件を直接担当してはいない。しかし、彼が江戸の火消し組を編成し、防火対策を取った名判官であることは事実である。
 水戸黄門も諸国漫遊などはしていない。しかし将軍綱吉の生類憐れみの令に真っ向から反発し、水戸藩中では実施しなかった慈愛に満ちた人物であることは事実だ。

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03月04日(月)
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