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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■福岡演劇事情/『KATSU!』1巻(あだち充)/『サムライ・レンズマン』(古橋秀之)ほか
 例えて言うなら、悟りを開いた仏陀が、「こんなステキなこと、人に教えたくないな!」としばらく悟ったことを隠してた心理につながるような(聞くだにインケツなオヤジだな、仏陀って)。
 「究極の贅沢」ってやつなんだよね。チャットって。


 マンガ、あだち充『KATSU!』1巻(小学館・410円)。
 ボクシングものかあ。
 前にもやったぞ、『スローステップ』だったっけ。
 また、二番煎じでいいのかあだち充……と言っても、今更あだち充がどう作風を変えればいいのかって言われりゃ答えようがないね、やっぱし。
 実際、ちょっとでも「いつもと違う」ことしようとすると人気出なくなるものね、あだちさんの場合。
 私の好きなあだち作品は『虹色とうがらし』と『いつも美空』だったりするんだが、前者が11巻、後者は5巻で打ち切られた。結構描いてるじゃんってことにゃならんのだよねー、なんたって20巻、30巻出すのがフツーの人だから。
 で、この二作に共通してるのがSFだってこと。
 別にSFとしてイマイチってほどでもないから、やっぱり「あだち充とSFのイメージが合わない」という読者の思いこみのせいで人気が出なかったんじゃないかなあって気がする。
 でも、作家のイメージをこうって決めつけるのって、その人の幅を狭くさせるだけだ。ちょっとくらい違和感を感じたって、ある程度自由に描かせる度量が読者の側にもないと、本当はこれから面白くなるはずだったせっかくの作品を、充分に楽しめないままに終わらせちゃうことにもなりかねない、それってすっごくもったいないぞ。
 その点、今回はSFのエの字も出て来ないから、それなりに人気は出るんじゃないかな。結局スポーツラブコメしかあだち充には要求されてないのかと思うとさびしいけど。

 好きな女の子とお近づきになりたい……という極めて不純な動機で、その子の父親の経営するボクシングジムに通うことにした高校1年の里山活樹。
 けれど意中のその子、水谷香月は、父親嫌いが高じた大のボクシング嫌いだった……。
 展開としては、活樹の意外なボクシングの才能が目覚める……って感じになるんだろうけど、結局は天賦の才能があった、みたいな展開、あまり好きじゃないんだよなあ。
 才能とか努力とか、そんなもんをいちいち付与しなきゃ、人は人を好きになる資格がないってことなのかね。その人の性格さえありゃいいんじゃないの? ……って感じのマンガを描いてたころのあだちさんの方が好きだったな。
 実は、「なんの才能もない、優しいというより優柔不断、さらにスケベで、スポーツや勉強の取り柄もない」男の壺がなぜかモテるって話、あだちさんは一つしか描いたことないんよ。
 それが『みゆき』なんだね。
 この話の活樹も、ボクシングの実力が全然伸びなかったらいいのにな。伸びたらその辺のよくあるボクシングマンガと同じになっちゃうし。
 ……と言いつつ私は『はじめの一歩』は全く読んだことがないのであった。


 古橋秀之『サムライ・レンズマン』(徳間デュアル文庫・770円)。
 うおおおおお! おっ、おもしれええええ!
 いやもう、びっくりしちゃったっつーかなんつーか、次のページをめくるのがもどかしい小説に出会うのなんてひっさしぶりだよ、ヤマちゃん(誰やそれ)。
 いや、実のところ、そんなに期待して買ったわけじゃなかったんだよね、この本。
 スペースオペラの金字塔、E・E・スミスの『レンズマン』シリーズは、確か中学生の時に少年向けにリライトされたSFシリーズ(当時の少年たちはたいていそれでSFに触れたんだがどこの会社の何というシリーズだったか忘れた)で一冊(多分『銀河パトロール』)を読んだだけで、全作は読んでない。中味も忘れた。 
 どっちかと言うと、私は日本初のCGアニメと言われた(^o^)映画版『レンズマン』やその続編のテレビアニメシリーズ、コミカライズ版の村野守美や三浦みつるのマンガで、レンズマンシリーズには触れている。どれも「若き」キムボール・キニスンが成長していく物語で、筋は殆ど『スター・ウォーズ』(と言っても『レンズマン』の方がモトネタなんだけど)。

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02月20日(水)
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