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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■探偵小説の終焉/渡辺啓助『亡霊の情熱』/『サトラレ』1巻(佐藤マコト)
 やはり「思念波が他人に漏れてしまう」という「サトラレ」のアイデアを考えついたことが何よりもスバラシイことだ。
 何しろ「サトラレ」は究極の正直者なんだから、必然的に周囲は「悪人」たることを運命付けられているようなものである。自分が「悪人」であることを押しつけられて落ちついていられる人間などいるわけはない。そこにドラマを作り出す余地はいくらでも生れてくる。
 ……美味しい設定だよなあ。
 もっとも作者は1話ごとに途端の苦しみを味わってるみたいだけれども。
 様々な環境で、たくさんの「サトラレ」たちが自分が「サトラレ」であることを気づかされずに活躍している。
 映画がほぼ一人のサトラレのみをフィーチャーしてドラマを作って行ったのは、2時間の映画として完結性を持たせるためにはごく自然なことだったろう。けれど、ドラマ的には多種多様なサトラレがどのように生きているのかを1話完結式で描いていく原作マンガの形式の方が、圧倒的におもしろい。
 映画のベースになった、西山幸夫・里見健一のエピソード以外にも、サトラレゆえに子供たちの間で孤立していく少年・野口浩くんや、思考を読まれながらも棋士の道を進もうとする少女・片桐りんの話を映像で見たかった読者も多かったのではないか。
 難しいかもしれないけれど、映画の続編を見たくなっちゃったぞ。
 監督、モトヒロから別のやつに変えて。

01月22日(火)
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