ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491657hit]

■なっまえっ、そっれっはっ、もっえっるっ、いっのぉちっ/『ガゥガゥわ−太』1巻(梅川和実)ほか
 これをいちいち小休止してはクッションの中にひと粒ひと粒入れていくのだから手間がかかってしょうがない。いいかげんで疲れてダウン。


 夜は某サイトでチャット。
 事情があってそのへんの詳しい事情は書けないが、とっても楽しい会話が楽しめたのであった。
 しげが一時期チャットにはまってたわけ、分るなあ。


 マンガ、梅川和実『ガゥガゥわ−太』1巻(新潮社・530円)。
 「コミック・バンチ」コミックス創刊第2弾。
 動物の言葉が理解できる主人公、というのは決して目新しい設定ではないが、その主人公が「言葉がわかるのに動物を嫌ってる」ってところに作者の工夫がある。
 社(やしろ)動物病院の息子、太助はモノノケの子孫(コマイヌ様とオイナリ様の間に生まれた……うわあ、スゴイ異種婚)。
 かわいい女子高生、船越みさとに連れられて病院にやってきたガウ犬(=すぐ噛む犬)・わ−太と触れ合った時から動物の言葉がわかる能力に目覚めた。
 人間と(特に女の子と)親しくなりたい太助にとっては、ドーブツの声が分るなんて力は邪魔なだけ。わー太を引き取ることになってもケンカの毎日である。
 けれどそんな中でいろんな動物たちと触れ合って行くうちに太助の心の中で何かが変わっていく……と、そんなストーリー。
 コメディタッチではあるけれど、実にハートウォームな話だし、絵柄もずいぶんかわいい。これが原哲夫の『蒼天の拳』なんかと一緒に「バンチ」に載ってるってのは相当違和感があるんじゃないか。
 まず線が細い。『山下たろ−くん』の1/20くらいかな(←適当)。細いだけじゃなく、動物のキャラ、相当に描きこんである。もちろんギャグキャラになることもあるが、基本的なデッサンは相当積んでる感じだ。黒目がちな眼、一本一本の毛の柔らかさ、そんな細かいところにまで気を配って描かれている。人間のキャラも繊細な印象なんだけれど、それ以上に「動物を描きたい!」という作者の気持ちが伝わってくるようだ。
 うまい新人さんはイマドキ珍しくなくなってるんだけれど、それにしても群を抜いたうまさだ。……ホントに新人か? この作者。
 で、この作者、どういう人かと気になって、ネットで調べてみた。どうやら女性らしい。しかも、今はどうだか知らないがもともと獣医さん。……動物を好きなのも当然か。
 マンガの中で、耳にイタズラでホチキスをつけられて血だらけになってる犬(わー太)が病院に運ばれるシーンがあるのだが、多分これ、作者自身の経験じゃないのかな。
 犬や猫の気持ちがわかったらいい。これは、マンガ上の定番だからということではなくて、作者自身の思いから生まれてきた自然な設定なのだろう。……だとすると、ますます、「定番」だけを追い求める“ジャンプのシッポ”、「バンチ」にゃ似合わない作品だよなあ。

 実際、新連載の予告ページには、たしか「かわいい女の子キャラマンガ」みたいな紹介のしかたがされてたように思う。……いや、そりゃヒロインのみさとはムチャクチャかわいいが、あくまでワキ。主役は太助とわ−太のデコボココンビだ。「女の子もの」と「ドーブツもの」とじゃ、全然ジャンルが違うやんけ。宣伝の仕方がデタラメだ。
 バンチ、もしかしたら雑誌戦略においてジャンプのクソなところだけ踏襲してるんじゃないか。
 作者の梅川さん、デビューはもともと「少年ガンガン」だったとか。そこから「バンチ」が引き抜いたってのは、やっぱり梅川さんの「絵柄」に魅力を覚えたからだろう。でもその理由が案外いい加減なものだったんじゃないかって懸念がしてならない。「メインが『蒼天』じゃ雑誌の色が濃いからさあ、フワっとしたかわいい絵柄の女の子マンガも載せようぜ、『マガジン』の『ラブひな』みたいにさあ」とか適当な理由で選ばれたんじゃないかな。
 そう言いたくなる理由はもう一つ、この連載、始まったばかりだというのに、どうやら一度打ちきりの危機を迎えたらしいのである。これもネットで知ったのだが、編集部がある種の路線変更を作者の梅川さんに伝え、それを拒否したところ「打ち切り」をちらつかされたというのだ。

[5]続きを読む

12月07日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る