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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■親の死にメよりアニメ/アニメ『ナジカ電撃作戦』MISSION 007/『MISTERジパング』7巻(椎名高志)ほか
 でもヒトのケガの心配よりも、仕事よりもアニメの方が気になるというのはなんとオタク道に適っていることか。しげは妻として女として人間としては最低だが、オタクとしては真に鬼畜であり、称賛に値するものだ。
 いっぺん、オタク版『杜子春』を書いてみたいんだよな。当然ラストは両親が鞭打たれていても懸命にアタマの中でクラリスやヒルダや手塚治虫キャラの女の子のナマ足や『ガス人間第1号』に出た時の八千草薫のことを妄想しながら絶対に口をきかないのだ(←ヤなやつだね)。
 しげをモデルにして女版で書くという手もあるがそうすると頭の中の妄想がダン・エイクロイドのみになるのでちとこれは面白くない。やっぱり男の邪念がパロディにするには一番か。
 でもそんなの、既に誰かが書いてるかもなあ。もしリクエストがあれば、連載小説ってことで書いていこうかくらい考えてるけど、数少ない(←本気でそう思ってるので、想定してるヒトって10人に満たない)読者のみなさん、いかがでしょう?


 マンガ、モンキー・パンチ原作監修・山上正月作画『ルパン三世Y』10・11巻(双葉社・840円)。
 総集編を雑誌で読んでるし、と思って単行本の方はじっくり読んでなかったんだけど、なぜか読み損なってたエピソードもあった。
 総集編に収録されなかったのか、単に私が買い損ねてたのか。もう、これだけ本買ってると、その辺の記憶は曖昧だ。
 巻を追うごとに峰不二子がかわいいだけの女になっていったり、悪役がもう「バカな金持ち」ってパターンのやつらばかりで工夫がなかったりと、もの足りないところが多くなってきて、正直言って飽きてきてんだけど、原作マンガファンも旧シリーズファンも新シリーズファンもすべてを満足させる作品なんてもはや作れっこないんだから、まあこんなもんでもしゃあないか。


 マンガ、鈴木由美子『ビバ! 山田バーバラ』1巻(講談社・410円)。
 実はウチには鈴木由美子が『白鳥麗子でございます!』以下全て揃っていたりする。しげが新刊が出るたび必ず買ってくるのだが、本人は「別にファンじゃない」と言い張っている。
 でも、私は知っているのだ。
 しげが『白鳥麗子』を読みながら泣いていたことを。
 鈴木さんの作品、なんだか女性の涙腺を刺激するツボみたいなものを押すテクニックが絶妙らしいんだよね。
 この『山田バーバラ』でも、38歳のオバサンが偶然冷蔵庫の中に入って20歳のころの自分に戻れることを知り、若い男の子に恋をするって話なんだけれど、設定自体は考えてみたらかなりムチャクチャだ。なのに、やはりその「健気さ」が感動を呼ぶのは、かつて『白鳥麗子』の勘違いな恋に涙した元少女たちの心を打ったのと同じで、女性が男性よりもはるかに壊れやすい「夢」の中に生きているからなんじゃないだろうか。
 「美」は必ず移ろう。男なら、そんなものに夢を託したりはしない。もっと確固たる夢、永遠に続く夢を見ようとする。だから、儚い夢にすがりつく女性を蔑み、差別もする。
 例えば「そんなにまでして男にもてたいのか」なんて言いかたで。
 けれどどうだろう、自分を整形しててでも美しくなりたいという女性の気持ちは、決して単純に「男にもてたいからだ」なんてところに収斂されちゃうようなものではないんじゃないだろうか。
 多分、長い歴史の中で、ほかのいろんな「夢」は全部男に取られてきちゃってるのだ。「美しさ」ってのは女性にとって、男が女に残してくれたほぼ唯一の夢であり、アイデンティティなんだろう。
 だから、「ビューティコンテスト」なんてのに賛成する女性も反対する女性も、実は「美」に価値を認めざるをえないと考えている点では同じなのだ。それが「男から与えられた」ものであるからこそ、反発する女性もいるわけだし、ほかに自分がすがりつける「夢」がないから結局それにすがりつこうとする女性も現れる。
 その様子を見て男がほくそ笑んでいることをどれだけの女性が自覚しているだろうか。

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11月22日(木)
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