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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■カリメンしげ/『モーツァルトは子守唄を歌わない』1巻(森雅裕・有栖川るい)
そりゃ、今回は気ぃ入れて作ったしな。
玉葱、牛肉、卵を程よくブレンド、生姜で下味をつけて炒めて、すき焼きのタレで仕上げたのだ。
そのうちしげが「また作って」と言い出すのは間違いないだろう。どんなにイジを張っても、しげが肉の欲求から逃れられるはずはないのである。
マンガ、森雅裕原作・有栖川るい作画『モーツァルトは子守唄を歌わない』1巻(ENIX・580円)。
原作は初版で持ってるのに実はまだ読んでない(^_^;)。
いや、当時の表紙の絵を描いてたのが『パタリロ!』の魔夜峰央でさ、てっきりギャグミステリーかと思って何ページか読んでみたら、ごくマジメでさ、ちょっとガックリきてしまった。
しかもストーリーが、「モーツァルトの死の謎をベートーヴェンが解く」という、誰でも思いつきそうなネタなんで、ますます興味が持てなくなった。
こういう実在人物をネタにしたやつって、犯人の仕立て方に「定番」があって、昔、海渡英祐の『伯林 ―一八八八年』の犯人を“読まずに”当てちゃったことがあるので、すっかり「歴史もの」には食指が伸びなくなっていたのだ。
でも、今回のコミカライズ、1巻だけしかまだ読んでないけど、滅法面白い。
ポイントは、モーツァルトでもベートーヴェンでもなく、ベートーヴェンの弟子にして、ワトソン役のカール・チェルニーなのであった。
いやもう、ワトソンのくせしてやたら出しゃばるわ、ベートーヴェンのウラをかいて陰謀は巡らすわ。
魔夜峰央のイラストでは細身のパタリロって感じの絵だったのに、有栖川さんのキャラはあくまで美形、常に唇の端に微笑をたたえ、自ら恃むところ頗る厚く、しかし屈託のない無邪気な悪意でベートーヴェンを翻弄する。
「ぼくを犯人だと思ってるんですか? ベートーヴェン先生」
……だとよ。
あ〜ナマイキ。つまりこいつ、オトナになった名探偵コナンなのだな。って、工藤新一じゃん。
更にいいのが、フランツ・ペーター・シューベルト。こいつのデザインがもうただのつぶれ大福(^o^)。後に貧乏のズンドコで死んだとは思えないふくよかさ。こいつがまた、純朴そうな顔してチェルニーと組みやがる。
ああ、やっぱり絵の魅力は大きいなあ。
……原作、探し出して読んでみようっと。
09月14日(金)
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