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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ウナセラディ東京/江戸東京たてもの園/『ヒカルの碁』12巻(小畑健)
私の日記は自分の妻からですら「くどい」と言われてしまうが、ありふれたことをできるだけ書き残しておきたいと思うからである。今生きている私たちには珍しくもないもの、つまらないできごと、実はそれがとても貴重なことだったりするのだ。
売店で土産物を買って、新宿へ。
しげが「高いところに行きたい」というので、東京都庁の展望室でひと休憩して、軽食。
いちいち周囲の建物の高さを見てはこうたろう君と「ゴジラはどのくらいの高さか」と会話するところがやっぱりオタク。
120メートルのギドゴジですら、都庁から見下ろせばチビなのだ。ましてや初代ゴジラの50メートルなんて、今更東京で暴れさせられやしない。
21世紀には21世紀のゴジラ像を築き上げなければ、もはや再度の復活はないのではないか。
銀座に出て、博品館で土産物をまた物色。
店名を見ただけでは何の店だか見当がつかないが、おもちゃ屋である。
しげがエルビス・プレスリーの飛び出すバースデーカードを発見して狂喜する。カードを開けた途端、エルビスのどでかい顔が飛び出して来たらこりゃ驚くわな。……即座に買っていたが、そんなハタ迷惑なもの、誰に送るつもりなんだ。
そのあと、どこかのステーキ屋で夕食。
さっきの博品館で、しげはいつの間にかお子さんたちへのプレゼントを買っている。
「子供の日のプレゼント」と言って手渡すが、こんなさりげない気遣いができるなんて、どうしたんだ、しげ。
ドジでノロマで無遠慮なお前らしくないぞ。
ステーキの肉は量は多いがなんだか薬臭くて変な味であった。
夜の銀ブラもオツなものである。
こうたろう君は「あんなところにもユニクロが」と、東京の街が変貌していく様を嘆くが、それがまた時代の顔であることも否定できない。
路上で「今の政治は間違ってる」と呟く浮浪者がいる。
演歌に合わせて踊る40代のオバサンパフォーマーがいる。
目を合わさずに通りすぎるが、それもまさしく今の東京の風景なのだ。
8時の鐘が銀座の街に鳴り響く。
光る時計台をデジカメで撮った。観光客が多分これまでに何万人も撮ったであろう時計台、でも今撮った時計台は、今日のこの日のこの時刻を指しているのだ。
「ああしまった、ここが『双子探偵』の舞台になった神社なのに」と、こうたろう君が嘆く。
例の銀座のど真ん中にある神社ってやつだな。なるほどもうシャッターが降りていて、そこが神社なのかどうかも全く分らない。
でも大丈夫だよ、こうたろう君、また来るから。
まだまだ見て回りたいところが、東京にはたくさんあるのだ。
こうたろう君の家に帰って、さすがに疲れたらしいしげは、「もう寝る」と言って実際布団に入った途端に寝息を立て始めている。
私もゆっくり休もうとしたが、つい枕元にあった『ONE PIECE』1〜18巻と、『ヒカルの碁』1〜12巻を読み始めたら止まらなくなってしまった。
『ヒカ碁』の12巻は未購入だったので、連載のどこまで収録されているか確認した。
新初段シリーズが終わったあたりかあ。これがプロになっての第一の山だったところだな。このあと更に……。となるのだが、そのための伏線として実に見事である。
さりげなく和谷と越智が主役に絡まない形でコメディリリーフを務めているあたりも脚本の芸が細かい。しつこいギャグは却って白けるという緩急の妙をよく知っているのだ。
新登場の倉田もうじき名人(^^)、この作者たちのキャラクター造形の幅の広さを感じさせて実にいい。ここまで緻密に作られていると、やはりアニメ化はムズカシイだろうと思われる。『シャーマンキング』がひと足先にアニメ化だそうだが、ほぼ同時期に連載が始まったこの二作、つまりは『ヒカ碁』のほうはポシャったということなのかな?
さて、東京旅行も明日が最後。ゆっくり寝て疲れを残さぬようにしないと、と言いつつ、今日は私の方が気が高ぶってなかなか眠れないのであった。
最後に一つ、豆知識。ザ・ピーナッツの名曲『ウナセラディ東京』って、イタリア語で「東京の夕方」って意味です。“Una sera di Tokyo”ってことね。
05月04日(金)
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