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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■多分、猫たちにもある愛/『CYBORGじいちゃんG』2巻(小畑健)ほか
常軌を逸したらしい女には、男が夫に見えるらしい。男はなんとか女をなだめてこの場を去ろうとする。
自分を放っておいたことを恨み、懐からナイフを取り出す女。てっきり自分を殺そうとするのだとびびる男。ところが女はナイフを自分の胸に突き刺す。
しかし血は流れない。それは撮影用の小道具だった。
「そう……ここは天国なのね……だから、あたし、あなたと一緒にいられるのね。ずっと、ずっと……いつまでも……」
ようやく眠りにつく女。
男も女が哀れに思えてくるが、でも殺さなきゃならないとあくまで言い張る。
「なぜそこまで殺したいの? あなたは奥様の何?」
口篭り、立ち去る男。
男は語る。
「全く、どうなっちまったんだか……。
僕はへんだ。おかしくなっちまった……」
ある日、召使を連れた一人の少女がたずねてきて、女に出て行くように命じる。
「誰、あなた……」
「館野友梨香。館野正興の娘よ」
夫が死ぬ間際に女を籍に入れたのは、少女の保護監督者を必要としたからだった。この1ヶ月の女の行状で、監督者としての能力に欠けると裁判所に判断されたのだという。
愕然とする女。
少女は葉子に言う。
「あなたは残っていいわ。この女を追い出すのによくやってくれたようだから」
明日までに立ち去るよう女に言い残して、笑いながら去る少女。
あとに残された女と葉子。
女、ゆっくりと酒を飲み、なぜかほっとしたような表情。
「お辛くないんですか……思い出の家を手放しちゃうのに……」
「辛くなんかないわ。思い出なんかなかったもの。あんなに好きだったのに、あの人との思い出なんか何もなかったのよ。……だから、幽霊だっていい、あの人との思い出がほしかった」
「え、それじゃあ、あの幽霊さわぎは……」
「殆ど私。……あとはあなたたちよね?」
夫を殺したと言うのもウソ。男に抱きついた時も正常だった。全ては女の演技だったのだ。
しかし、庭にいた一面の猫。あれは二人のどちらでもなかった。
「どういうことでしょう?」
「悪戯ものがほかにもいたんでしょ。でももし……あれが夫だったら……」
夢見るように瞳を潤ませ、女優にカムバックすることを決意して、女は去る。
葉子に近寄る男。
男は女を殺す気がなくなったと話す。
「もともと殺す気なんてなかったんじゃないの? あなたもご主人の隠し子じゃないの?」
「たいした想像力だな。どうしてそう思った?」
「あの女の子と、クセが似てるのよ。ほら、その鼻に指をやるクセ」
「……僕はただの詐欺師さ」
幸せに、と言い残し、男は葉子のもとを去る。
男は語る。
「こうして僕の計画は失敗に終わった。
え? 女の名前はなんて言うのか分らないって? 女優に名前はないさ。詐欺師に本当の名前がないようにね。
それでも聞きたけりゃ教えてやるよ。彼女の名前はね……」
男の口から猫の鳴き声が漏れる。
(幕)
……女房にいわせリゃ「もったいぶってて事件がない」のだと。こないだまで「事件が起こるのはいやだ」といってたくせにな。
なんだかんだ言いながら、みんな以前にやった『徘徊する異人達』や『ディオゲネスの樽』の路線の方が好きなのだなあ。
もう、ウチは不条理劇一本で行くようにしていいのではないか。
映画に行くのを中止したので、帰りに回転寿司屋に寄って寿司を食う。
なぜか桜もちが流れていたので、こんなの20年以上食ってないなあと思って食べてみたら、中は全部アンコだった。
いや、だからこの手のものって食べつけてないから味の予測がつかないのよ。
食感は美味しかったが、こんなに甘いものだとはなあ。ああ、またこれでカロリー消費の計算をミスっちまった……。
去年の7月に録画しておいた月曜ドラマスペシャル『垂里冴子のお見合い事件帖』見る。
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03月11日(日)
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