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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■キューティーハニーがドラマ化ってねえ/コンドルズ公演『SUMMER TIME BLUES〜沈黙の夏』
 映画でもそうだが、「不自然でないミュージカルシーン」というのは、日本の場合、「宴会」か「お祭り」のシーンでしか描けないのである。それ以外の場面で歌や踊りを披露しようと思えば、その「感性」や「体躯」の違いを逆手に取るしかない。
近藤良平氏がそこをどう自覚しているのか、コンドルズのにわかファンである私はよく知らないのだが、立派に「日本人にしか出来ないパフォーマンス」になっていると思う。

 コンドルズと言えば「学生服」である。珍妙な思いつき程度に思っている人もいるかもしれないが、こんな「日本オリジナル」な衣装はない。しかもこのインパクトはかなり強烈で、多少、トシの行った男が着ていてもお客さんには「学生」に見てもらえる。このアイデアだけでも充分に非凡だと思う。このスタイルで、短い手足を振り回して、揃ってないダンスを懸命に披露するから、ユーモアも感動も生まれるのだ。
 もちろん、スタイルだけに依拠しているわけではなく、2時間の公演中、これでもかとギャグが盛り込まれる。ダンス部分は言葉で説明できるものではないから、パフォーマン部分だけを紹介することにする。

 「今日のテーマを四字熟語にしよう」。
 ステージの四人が、それぞれ一字ずつ、勝手に思いついた字を揮毫する。
四文字続けて現れたのは、「弱」「転」「乱」「肉」。
 「本日の舞台は、何が起きても『弱転乱肉』」とナレーション。
ステージごとにテーマが変わる仕掛け。

 本舞台は「沈黙の夏」のタイトル通り、全て無言劇。
 聞こえるものは蝉の声だけ。仰向けになってもがいている男がいて、その周囲に一人、また二人と男たちが集まってくる。
肩を組み、隊列となり、みんなで野球を始める。バッターの売った見えない球が虚空に消えて――。
 最後に現れた男が、切腹をする。
全員が正座して、その様子をただ黙って見ていて――長い長い、沈黙と静止の時間が流れ、ようやく足が痺れて立てなくなった男たちがヨタヨタと退場して、オープニングは終わり。

 「底辺×高さ÷2」
 「底辺」両手を広げて、「底辺」のポーズ。
 「×」両手を交差させて、ペケのポーズ。
 「高さ」背伸びして右手を高く挙げ、「高さ」のポーズ。
 「÷」水割りを飲む(笑)。
 「2」右手でVサイン。
 学芸会的なネタだけれども絶妙に可笑しい。

 「マッチ棒で遊ぼう」。
 床に横たわる数人の男。それをモニターで真上から見た様子がスクリーンに映し出される。
 テロップが出て、「マッチ棒を2本動かして、ゴミをチリトリから出そう」。
 てっきり、マッチ棒役の二人が移動して、図形が変わるのかと思って見ていたら――。
 二人がゴミ役の一人を殴る蹴るして外に追い出す。
次のテロップは「福岡で一番と言えば?」
男たちの作った図形がひっくり返って出来た文字は「IMS」。
 また、横たわって、「豚の形」を作っている男たち。
 「マッチ棒を一本動かして、豚の向きを変えよう」
 現れたもう一人の男、豚の顔に当たるマッチ棒役の男を動かすかと思いきや――。
 一番太った男を転がして終わり。

 原始人同士が無言でやりとり。 
 お互いの腰巻を交換すると「等価交換」とテロップが出る。
 木を擦り合わせて火を熾すと、「地球温暖化」。
 棍棒に骨を継ぎ合わせて長くしようとするけれども失敗。「耐震偽造建築」。
 原始と現代は繋がっているという落ち。

 座禅を組む男。
 そのままの姿勢でスライドし、スクリーンの陰に消える。
 スクリーンに映るのは男のシルエット。
 その影が「空中浮遊」する。
 地上に降りて、再びスライドしてスクリーンの外へ。にっこり笑う男。
もう一度スクリーンの陰に隠れると、今度のシルエットは分裂して曼荼羅になる。

 マラソンランナーが四人、スタートラインに。
 スターターがピストルを構えて――。ランナーの一人を撃ち殺す。
 またランナーが四人、スタートラインに。

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08月11日(土)
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