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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■したいようにすりゃいいってもんでもない/映画『呪怨 パンデミック』/ドラマ『はだしのゲン』前編
 午後は、帰省して来たS嬢と博多駅のマクドナルドでおしゃべり。
 渋滞に巻き込まれて、すっかり遅刻。ヒロシマ土産のお菓子までもらったのに申し訳ない。
 S嬢もすっかり立派(かどうかは知らないが)な自衛官である。自衛隊の裏話もいろいろ聞かせてもらうが、「自衛官に国防意識はないし、みんなオタクですよ」と言われて、日本の未来はやっぱりないなと苦笑する。
 しかし、私の知り合いの自衛官って、みんな×××だったり×××だったりするのだが、本当に試験は公正に行なわれているのだろうかね。


 中洲の明治安田生命ホールで、映画試写会『呪怨 パンデミック』。

 シリーズもビデオから数えるならもう6作目。けれどもハリウッド版はこれが二作目で、まだジャパンホラーに慣れていないあちらのお客さんには絶叫と爆笑を引き起こして大ヒットしたことはまだ耳新しいニュースだろう。
 もっともこちらは伽耶子と俊雄の見せ方にもすっかり慣れてしまっているので、怖がりもしなければ笑いもしない。あとは物語をどう面白く見せるかというアイデア頼みで見に行ったのだが、三つのエピソードを、「時系列を崩して」見せて行くやり方は、必ずしも新味はないけれども悪くはない。多少、ストーリー進行にもたつきを感じはするが、これはまあ成功している方だろう。

 主演は前作のサラ・ミシェル・ゲラーに代わって、アンバー・タンブリン(サラの妹という設定)。名前で気付いた方もいらっしゃるだろうが、この子、『ウエストサイド物語』『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』のラス・タンブリンの娘さんである。顔がお父さんによく似ているので、ヒロインとしてはどうかという気もするが(失礼)、ラストで×××……なので、これはそれを計算してのキャスティングかもしれない。ちょっと失礼かな。

 ただ上映が日本語吹き替え版だったのだが、ハリセンボン、森三中、まちゃまちゃの吹き替えが学芸会以下のレベルで最悪。特にジェニファー・ビールスにまちゃまちゃというのは笑えないジョークでしかない。声優以外のキャスティングはよく「客寄せパンダ」と揶揄されるが、これはその典型だろう。


 帰宅して、ドラマ『千の風にのって はだしのゲン』前編。
 全く期待していなかったので、予想通りの惨憺たる出来栄えだったけれどもショックはなかった。

 基本的にゲンの家族は、あの当時としては全く浮世離れした非現実的な存在なんである。たとえ町内で非国民扱いされていたとしても、あんなに明確な反戦意識を持って声高に叫べるような庶民がいるわけがない。共産主義者を主人公にして反戦を訴えるという手法のつもりなんだろうけれども、ゲンの父をあまりに美化し過ぎているのである。当時の「アカ」は、潜伏するか転向するしかなかったのが現実だろう。

 さらにひどいのは肝心の原爆の描写。
 以前の実写版もそうだったが、セット撮影なのがバレバレ。
 被爆者についても、顔面がえぐれてたり手足がもげたりケロイドで皮膚がただれたり、もちろん「川が死体で埋め尽くされていた」描写くらいはやらないと「ヒロシマ」は描けまい。
 ゲンの家族が焼け死ぬシーンでも、原作にあったゲンの母が狂って「父ちゃんが燃える、英子が燃える、信二が燃える」とつぶやくセリフがカットされた。狂気を描いたらダメってことなんだろうが、そんなコトナカレのふざけた姿勢で戦争を描いていいものなのか、という疑問はスタッフには生まれなかったのか。
 代わりに、父親と信二の別れの会話が付け加えられて、いかにも叙情的な音楽が流れるが、もう根本的に、ドラマを作ることを放棄しているとしか思えない。

 こういう出来合いのドラマであっても、お手軽に泣けてしまう平和なお客さんはいっぱいいて、それで戦争について思いをいたしたような気になれる。だからもうそれ以上は何も考えようとしなくなる「思考停止人間」を営々と作り出しているのである。

 イッセー尾形小倉ワークショッパーズのKさんがエキストラ出演しているということで、見たのだけれど、2時間がかなり辛かった。

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08月10日(金)
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