ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491654hit]

■動機は藪の中に/映画『リトル・ミス・サンシャイン』/映画『こまねこ』/ドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』
 マニアなキャスティングではあるけれども、一般的に客を呼べる有名スターは一人もいない。
 ところが、そんな映画が、『スーパーマン・リターンズ』『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』などの超大作を蹴散らして5千万ドルを売り上げる大ヒット、諸外国の映画祭でも絶賛の嵐、となれば、日本の批評家もまたこぞってこういう映画を誉め上げるのである。
 けれども、そこが「落とし穴」というもので、「地味な映画を賞賛するのが通」みたいなのは逆にスノッブなのね。映画を実際に見てみりゃ分かるけれども、駄作とまでは言わないけれども、「この程度で絶賛するか?」って程度の小品だよ、これ。

 いわゆるウェルメイドなシチュエーションコメディであると同時にロード・ムービーでもあるんだけれども、ビリー・ワイルダーほどに粋なわけじゃない。ニール・サイモンほどにイカレているわけでもない。ごくごく小粒。
ワイルダーなら設定にムリがあっても、笑わせてくれるんだけれども、そういう芸達者は、アメリカでも払底しているのかもしれない。コメディアンをあえて外して、「ナチュラルな演技」がふれこみの普通の役者を起用した(アラン・アーキンやスティーヴ・カレルなどのセカンド・シティ出身者もいるが、彼らにも普通の演技をさせている)。
 そこがあちらでは賞賛されているようだけれども、そもそも設定自体が「ありえない」のだから、ナチュラルじゃ逆効果なのではないか。だって、実際、見た印象は、「ムリのある話で、しかも爽快感がない」としか言いようがないのだ。

 冒頭で「いかにフーヴァー一家がバラバラか」を紹介する描写をパンフの解説で誉めていたけれども、こんな「絵に描いたようにバラバラ」な家族を「自然な演技」で見せても、かえって不自然さが目立つ。
 自分の立案した成功法を出版したがってるオヤジってのは実在するかもしれない。
 ヘロイン中毒の爺さんも世の中にはたくさんいるだろう。
 ニーチェに被れて無言の行を続けるイカレた若者も滅多にいるとは思えないがいないとも言えない。
 ミスコン狂いの母娘なら、いくらでもいそうだ。
彼氏に振られたゲイで、しかもプルースト研究家というのは突飛だが、普通の家族の中に一人、そんなヘンなのが混じってるっていうのなら納得もする。
問題は、「こんなおかしなやつらが全て集まってる家族なんてありえない」ということだ。

 ストーリーは彼ら家族が幾多のトラブルを乗り越えてカリフォルニアにたどり着くまでを描くが、このトラブル一つ一つの乗り越え方がまた、毎回「ウソくさい」のである。

 ラストが取って付けたように家族そろって仲良しになりました、で終わるのも拍子抜けだ。
 せめて日本の『逆噴射家族』のようにハチャメチャなことをしてくれるんだったら気が抜けるまでには至らなかったと思うんだけれども。


 続けてシネリーブルで、『こま撮りえいが こまねこ』 

 原作・監督・キャラクターデザイン 合田経郎/アニメーター 峰岸裕和、大向とき子、野原三奈
 音楽 Aikamachi+nagie/Vocal いいのまさし/エンディングテーマ:solita『123』

 声の出演 瀧澤京香、若林航平、小林通孝 


 
 「こまちゃん」は、こま撮り(8ミリ撮影のアニメーション)が大好きなネコの女の子。
 彼女を主人公に、五つの物語が綴られます。

1.「こまねこ はじめのいっぽ」
 こまちゃんはこま撮りするネコなので、今日も一生懸命にこま撮りをしています。ストーリーを考えて、絵コンテを描き、お人形や背景も作って、さあ!8ミリカメラで撮影を開始するのですが・・・。ハエが飛んできてアクシデント発生!こまちゃんは無事、撮影できるのでしょうか?

2.「カメラのれんしゅう」
 お気に入りの8ミリカメラで野原の撮影をするこまちゃん。撮影に夢中なこまちゃんに、幽霊がいたずらしようと、こっそり忍び寄ってきます。

3.「こまとラジボー」
 壊れたラジオの修理にやってきた、ラジボーとラジパパ。ラジボーは機械いじりが大好きな男の子。こまちゃんに、素敵なお友達ができました。
4.「ラジボーのたたかい」

[5]続きを読む

01月05日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る