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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オタク用語の基礎知識2006/『唐沢なをきの幻獣事典』(唐沢なをき)
 ジャーゴンを次々と作り出すことを仲間意識を深めるためと言えば聞こえはいいが、意図的に作られたそれはむしろ「その言葉を使えない人間を村八分にする」意図のほうが強い。要するに隠語であり、符牒であり、排他主義である。だから、世間一般にその言葉が浸透していくと、「その言葉の使い方は違う!」などと息巻くことになるのである。「萌え」とかもう一般語になったと言っていいくらいだから、その概念はもうかなり曖昧になっているのである。せいぜい「オタク的な好きになり方」としか説明のしようがないが、じゃあその「オタク的」というのがどういうものかと問われれば、明確に説明できる人間はいないだろう。
 「ツンデレ」ってのもこないだ初めて聞いたような気がするが、もう一般化していて、入ったばかりのミクシィの下村嬢の紹介文に、「萌えキャラ」とか「姉・ツンデレ属性あり」とか書いてあったのには大笑いした。いや、笑っちゃ悪いかもしれないが、少なくとも私は、そういう「萌え」とか「姉」とか「妹」とか「ツンデレ」とかは、あくまでアニメキャラ、特撮キャラなど、二次元ないしはフィクションの世界に限定されるもので、ナマミの人間に適用される言葉だとはついぞ思ってもみなかったのである。
 つまりそれだけ、言葉の囲い込むカテゴリーが広がっているのだ。それが「一般化して行く」ことの特徴でもある。となると私にとっての「萌えキャラ」はしげということになるのだろうか(笑)。しかし、二次元キャラと同一視される生身の人間は、どんな気持ちになるんだろう。あまりいい気持ちはしないのではないかと思うが、そういう感覚も若いオタクたちの間ではもしかしたら薄らいでしまっているのかもしれない。
 まだ私が何を言いたいのかピンと来ない人もいるかも知れないが、こういうジャーゴンの多出は、「オヤジ化」の第一歩でもあるということである。宴席で、つまんない駄洒落を飛ばして、場は白けてるのにその空気に気づきもしないで、それを受け入れることを強要する傲慢さ、「俺の勺が飲めないのか?」と酒臭い息を吹きかける下品さと共通の感覚が、だんだんと若いオタクをも席巻しつつあるのだ。
 以前はオタクはサベツされてたから(笑)、一般人の前でそんなジャーゴンを口にすることもなかったのだが、最近は堂々としていて恥を知らない。別に知らなくったってかまわないのだが、『電車男』ブームと言い、自分たちがいかにも社会に認知されたかのように錯覚して、押し付けがましい態度を取るのはどうしたものかと思うのである。
 『フラワー・オブ・ライフ』2巻(byよしながふみ)に曰く、「なんでもあなたたちの言葉で説明しないでちょうだい!」(笑)
 あなたは「もう私のことを愛してないの?」と言われる代わりに「私にはもう『萌え』を感じないの?」と言われたいかね。言われたいならもうあなたは重症だ。


 「今日は一日、家におってよ」としげ。
 「何で?」と私。
 「言うとったやん! ガス工事の人が来るって!」
 「ああ、そうやったっけ。で、いつ来るん?」
 「午前中やろうけど」
 まあ、確かに午前は午前だったが、12時ギリギリ、こちらが待ちくたびれて、昼寝をしていた最中に、ピンポーンと玄関のインターホンが鳴った。
 マンションの改装に伴って、ガスの工事とか玄関のペンキ塗りとか、給湯器の付け替えとかやらなきゃならないので、都合のいい日を教えてください、ということだったのだが、面倒くさいので今日一日で全部やっちゃってください、と頼んでいたのである。でもこういうときの工事の人というのは、こないだベランダから声をかけてきたこともそうだったが、無礼な人が多い。
 「ガスの工事をするんで、いったんブレーカーを落としてもらえませんか」
 「部屋を全部ですか? それはちょっと困るんですけど」
 「じゃあ、ガスのところだけでいいです」
 「ガスのところってどこでしょう?」
 「知りませんよ。台所か玄関か、そのへんじゃじゃないんですか」

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11月05日(土)
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