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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■一般の認知度は「モナー」より「のまネコ」の方が上なんだよね/ドラマ『赤い運命』第一話
 という「ありえねー」設定なのだが、大映ドラマが新派悲劇の流れを汲んで、大時代的なロマンを描いてきたのは周知の事実。取り違えの真実を知った検察官の榎木孝明が、「今ここで真実を告げれば、娘たちも傷つくし、人間らしい心を取り戻そうとしている殺人犯も、更生の道を断たれる」と判断して、真実を告げることをあきらめる、というのも、よく考えれば「事態が悪化するだけじゃないか」と突っ込めるところだが、それを突っ込んじゃあいけないのがお約束である。
 オリジナル版の宇津井健も、「自分一人だけが苦しい」みたいな大仰な演技を披露して(この人の演技は『新幹線大爆破』もそうだが、常に眉間に皺が寄っている)、当時の視聴者を爆笑……いや、感動させていたものだったが、榎木孝明もそのあたりがよく「分かって」いて、タメのあとに搾り出すような発するセリフが素晴らしい。
 しかしやはり最高なのは「悪役初挑戦」という触れ込みの(ウソつけ)船越栄一郎である。オリジナル版の三国錬太郎もかなりアクは強かったが、船越栄一郎のもう頭の先からケツっぺたまで「おりゃあ所詮極道よ」って匂いをプンプン漂わせている臭い演技は、下手だか上手いんだか分からない。いや、もちろんそういう演技こそがこういうドラマには合っているのである。
 肝心のヒロインの綾瀬はるかであるが、『戦国自衛隊1549』の時にも思ったが、「誰がやっても構わない」ような演技ばかりさせるのは損なんじゃないのか。ともかく「濃い」キャストの中に埋もれてしまって、セリフが殆ど生きていないのである。それを考えると、宇津井健や三国連太郎に決して負けてなかった山口百恵は偉大だったんだよなあ、とつくづく思う。
 参考までに、オリジナル版とのキャストの比較。当時の「濃さ」がご理解いた他だけようか。

 キャスト(役名:平成版:オリジナル版)
 •島崎直子:綾瀬はるか:山口百恵
 •島崎栄次:船越英一郎:三国連太郎
 •吉野信人:榎木孝明:宇津井健
 •吉野いづみ:佐藤千亜妃:秋野暢子
 •吉野俊介:玉木宏:南条豊
 •吉野剛造:神山繁:志村喬
 •大竹由美子:紺野美沙子:岸田今日子
 •大竹修三:渡辺いっけい:前田吟
 •山村美矢子:麻生祐未:有馬稲子
 •下条秋子:伊藤かずえ:?


 地方の深夜番組というのはいったいどんなものか、他県の人からはなかなかうかがいしれないものであろうが、まあ、だいたいにおいて『タモリ倶楽部』並にまったりとしていて、しょーもないものである。今日から始まった新番組、『ポジTV』(「ポジティブ」と読むのである)、いきなり「リアル電車男を捜せ!」というイタイ企画。
 パーソナリティーのスザンヌちゃん(これがいかにもスザンヌって感じの風貌)というタレントさんが、例の天神の「メイドカフェ」に入り込んでメイドコス。そこのお客さんでいかにも「電車男」風な男の子を見つけて、「君には好きな子はいないの? 告白する気はない?」と余計なお世話を焼く。また、ここに集まってるやつらが見事なくらいに「アキバ系」なものだから、誰に声をかけても「彼女いない暦=実年齢」だったりするのだ。で、そのうちの一人、やせっぽちのメガネ君をゲットするや、天神近辺のオシャレな店を連れ回し、ン10万円の服を仕立てて、立派に「変身」させることに成功?する。ビフォー&アフターは確かにガラリと違う。つか、ビフォーがユニクロかなんかで買ったTシャツにくたびれたズボンだから、オタクは確かにファッションセンスはゼロに等しいのだよな。「美容院に生まれてこの方、行ったことがない」彼を、何とか「見られる」スタイルにして、いよいよ好きな女の子に告白させちゃおうという直前で「次回に続く」となるのだが、来週また見るかどうかは分かりません(笑)。
 本人には嬉しいのかなあ、始終ニコニコ(つか、ニタニタ)笑ってただけなんだけれども、ハタ迷惑なだけじゃないのか。まあ、よくわかんないね。


 マンガ、細野不二彦『ダブル・フェイス』8巻(小学館)。

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10月04日(火)
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