ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491661hit]

■当人には悲劇、他人には喜劇/『夢幻紳士【幻想篇】』(高橋葉介)
 もちろん我々人間は本質的にドス黒いものを常に内部に宿している存在ではある。馬鹿を見てあざ笑う心理は醜くはあるが、だからと言って、これを全面的かつ無条件に否定することは、人間の存在自体を否定することになりかねない。だから我々は日常を維持するために、時にそういった「心の暗部」が外部に流出しようとするのを抑制し、なだめすかし、飼いならしつつ何とか過ごしている。しかし今回の報道姿勢は、その醜さがあまりにも露骨に流出してしまっているとは言えまいか。これは「社会」自体が人間の欲望や恨みや妬みや狂気を「飼いならす方法」を既に見失っている証拠ではないのか。
 ……と、ちょっと不安に駆られたような書き方をしてしまったが、過剰報道をしているのは一部の新聞くらいのもので、世間的には「そんな事件があったの。ふーん」で終わっているような気配ではある。なるほど、それが「普通」だ。「よくある事件のひとつ」として新聞報道なんか気にせずに流すのが、この場合の「世間知」ってものだよねえと、私の「古い感覚」ではそう思っちゃうんですけど、もしかしたら若い人は、こういう事件を見たり聞いたりするのは何よりも楽しいんですかね。


 日曜の朝は『仮面ライダー響鬼』、今回は十一之巻 「呑み込む壁」。
 一話も欠かさずよく見てるなあ、オレ。こうなるとDVDすら発売されたら買いたくなってしまいそうだが、考えてみたら『仮面ライダー』シリーズは一番好きな旧本郷ライダーですらLD、DVDは持っていないのである(エアチェックのビデオテープだけ)。気に入らないところもないわけではないのにこんなに入れ込んでるのはなぜなのかまだ自分でもよく分かってないのだが、それを自己確認するためにもついつい見ちゃうのである。
 ついに明日夢も高校生。制服を今一つ着慣れていない様子なのが初々しくてよい。新学期に合わせるかのように、「猛士」側も「魔化魍」側も、急激と言っていいくらいの新展開があったのが今回の話。ダブルライダー揃い踏みのワリに、ドラマ展開自体はまったりしていた前回までとは打って変わったようである。
 ディスクアニマル開発者である滝澤みどり(梅宮万紗子)と明日夢との出会いはまさしく「出会いがしら」でいささか強引だけれども、明日夢がいよいよ「猛士」と深く関わっていくためには必要な展開であろうか。ただこのみどりさん、キャラクターとして香須実とカブってる部分があって、初登場のワリにはちょっと印象が薄い。今後の展開でもう少し突っ込んだ扱いをしないと無駄キャラになりそうな心配があるけれど、まあ私は日菜佳の方が好みなのでどっちゃでもよろし(笑)。
 敵方では「幹部」っぽい黒づくめの男が登場。なんだこいつはブラック司令(『ウルトラマンレオ』)か、と思っちゃったが、いつまでも単発的な戦いばかりじゃドラマが続かないし、敵さんにもやはり組織的な行動が必要だろう。ただこれもデザイン的にはありきたりで、もしかしたらあの黒服の中に斬新な衣装が隠されているのかもしれないが、今のところは「変なやつが出てきたな」程度のインパクトしかない。これも「面白くしてくれよ、頼むよ」という期待で見ていきたいところだ。……それはそうと、今回の魔化魍、食虫植物っぽいけど、「塗り壁」なのかね?
 ラストで明日夢が「たちばな」の秘密の壁に呑み込まれて落ちていくカットと、響鬼がヨロイを纏った童子たちになすすべもなくやられて崖を転落していくカットがシンクロする演出は秀逸。響鬼の危機感が相殺されてるんで、また「ライダーっぽくない」と怒るファンもいるかもしれないけれど、もう響鬼ってどんなにやられても悲壮感のカケラもないキャラとして認知されてると思うぞ。細川茂樹さんと栩原楽人くんの脱力した「あ〜〜〜〜〜」という悲鳴がかぶるのがGood(笑)。

[5]続きを読む

04月10日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る