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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■あ〜んあんあ、驚いた日記4
19日に発表された第55回ベルリン国際映画祭、最優秀作品賞の金熊賞は南アフリカ映画の『U−カルメン・イン・カエリージャ』(マーク・ドーンフォードメイ監督)が受賞。見ちゃいない映画については何ともコメントのしようはないけれども、少なくとも日本から出品された『隠し剣 鬼の爪』(山田洋次監督)が受賞するほどベルリン映画祭のレベルは低くなかろうと思っていたので、順当な結果かもしれない。いや、『隠し剣』もそれなりにいい映画じゃあるけれど、感情的かつ説明的な台詞が多すぎて、とても世界に出せるほどのものとは言えなかったので、落ちてくれてホッとしているくらいである。先年金熊賞を受賞した宮崎監督の『千と千尋』だって、いつものエコロジーに説教臭いところなど、決してよい出来だとは言えない面があったけれども、全体としては人間の本質を聖俗ともに包括的に描いていた点で現代ファンタジーとして十分評価に値したと思うし、そのあたりを「投げ」ちゃった『ハウル』の体たらくを見ると、やはりグランプリにはふさわしかったなと思うのである。なんかね、いまさらなこと言っちゃうけどね、映画の「完成度」って、たとえエンタテインメントであろうとそういう「人間」が描けててるってことなんだよ。半可通なオタクは「人間が描けてなくたっていいじゃないか」とかすぐ言い出すけど、「人間は描けてないけど面白い」作品なんて存在しない。そういうものです。
『隠し剣』よりも気になるのは、落選したことでまた輸入が危ぶまれるんじゃないかと心配の『太陽』(アレクサンドル・ソクーロフ監督)だけれども、本気で日本が「民主主義の国」であると主張するのであるならば、どこかの会社、ちゃんと買い付けろよと言いたい。多分、昭和天皇を演じたイッセー尾形さんも、出演するに際しては極右翼に「命」狙われるくらいの覚悟はしてるはずだ。その意気に答えられないってんなら、日本の映画人は口が裂けても「映画に平和へのメッセージを込めた」なんて言うべきじゃないだろうよ。
02月21日(月)
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