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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ない袖まで振らせようとするな/DVD『鉄人28号』6・7巻
 仮に手持ちのカネがそこそこあったとしても、返すアテの全くない相手に親戚とは言え誰がホイホイと貸すものか。非常識を通りこしてキチガイ沙汰なんだが、それを堂々と頼み込んで来れるあたり、父が親戚からナメられてるのは一目瞭然なのである。義理とか世間体とかを考えさせれば押しきれるだろうと、アチラも甘えてねだってきたんだろうが、それが通用してきたのは父がまだ働き盛りだったころまでである。もう父だって親戚づきあいをあえてしなきゃならんトシでもないし、縁を切ったところで今後困る事態になることはない。それでも私にわざわざ相談してきたということは、最後の最後で踏ん切りがつかなかったんだろうが、そこがいいトシして情けないのである。だいたい親戚なんて、「血が繋がってるだけの他人」以外の何だというのだ。世の中、親子・兄弟でもカネが絡めば血で血を洗うがごとき醜い争いを繰り広げるのはザラだというのに、借金申し出てきた時点で縁切る覚悟ができなくて、なんで世渡りができようか。なんだかなあ、やっぱオヤジって基本的に「善人」なんだなあと思ってしまうのである(注・誉めてない)。生前、お袋から「苦労知らず」と言われてたのもムリはないのである。
 だから、借金を断ったと聞いて、ようやく「そりゃ、よかったね」で終わるかなあと思っていたら、父がまたとんでもないことを言い出した。
 「それでなあ、俺に断わられたから、今度はおまえんとこに借金申し込むって言いようったい」
 「はあ!? なんで?」
 「それくらい切羽詰まっとうってことやろう」
 「……まず、自分とこの家と土地売って借金返せばいいじゃん! でなきゃ自己破産せな!」
 思わず怒鳴ってしまったが、それこそ名字も違う、四親等も離れてる親戚から借金申し込まれる筋合いなんてない。これはつまり、「アンタが貸してくれないなら、息子にたかってやるぞ」という、父に対する「脅し」である。こんな下司な親戚とよくもまあ、これまで付き合ってきたものだと思うが、ホントにウチの親戚こんなやつらばっかりなんだよなあ。私の人格の根底に人間不信が横たわってるのも仕方ないのである。
 まあ、「脅し」である以上、私のところにホントに借金の申し出に来ることはまずないと思うが、もしホントに来たら、「まず、今までの借金、全部返してからそれ言ってね?」と静かに返事してあげようと思っているのである。

02月02日(水)
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