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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ヒミツのハカセちゃん/映画『父、帰る』
 ……で。物語は終わりである。「呆気に取られる」とはこういうことを言うのだろう。父は失踪していた間、どこで何をしてきたのか、今、家族のもとに帰ってきたのには何か訳があるのか、いや、そもそもこの男は本当に兄弟の父だったのか、全て説明されないまま映画は終わる。そこに「出来事」はあるが、「意味」や「説明」は一切ない。普通そういう映画は「不条理劇」と呼ばれるものだが、描写がリアルなだけに、監督が観客を翻弄するためにそんなことをしたとは感じられないのだ。おかげで、我々はこの映画をどう受けとっていいか、困惑の中に置かれたまま、映画館の外に放り出されてしまうことになるのである。
 けれど、やたら過剰な説明ばかり語られて「この映画はこう受けとってください、それ以外の解釈は困ります!」と言った類の押しつけがましい映画が多い中で、この「潔さ」はむしろ小気味よい。「なんじゃこりゃ?」と腹を立てるお客さんもいるだろうが、私やしげはこういう映画の方が好きである。
 ……だからなんだろうなあ、自分たちで作る芝居がやたら説明不足になるのは(役者が文句つけるんで、改稿するとすぐ説明的になっちゃうんだけど)。


 帰りに「ヤマダ電器」に寄ってパソコンコーナーに。
 私もそろそろノートパソコンを買わないと、仕事にかなり支障を来たしつつある。一応、職場にもパソコン置いてあるんだけど、これが方が古いのかメンテまるでやってないのか、ともかくやたらフリーズしまくってるのだ。けれど、デジタルテレビ買っちゃったこともあって、今すぐには買えない。つか、ヘタすりゃ来年の夏まで買えない。DVDボックスとか買うの、少し控えりゃなんとかなるんだけど、今見とかないとなあというのが最近やたら出まくってるし。『風と共に去りぬ』ボックスとか、『ザッツ・エンタテインメント』ボックスとか、私に死ねと言ってるようなものである。


 昨22日、『華氏911』のマイケル・ムーア監督が、オンライン映画雑誌 “Film Threat. Com”の「Frigid 50(寒い50人)」でトップに選ばれたというニュース。
 もともとこのサイトは、エンターテインメント業界に対して批判的なところだそうだが、この「Frigid 50」の主旨は、「面白みに欠け、興ざめの著名人」を挙げることにあるという。だとすると、ムーア監督がワーストに選ばれた理由は、政治的な批判というより、その「人間的な態度」にありそうだ。選考理由が「あまりに巨大なエゴ」というのも、納得できることである。
 おそらくは、お上品な映画を作ったって世間の注目は浴びない、とにもかくにも自分の主張を聞いてもらうためには「宣伝」が先だとムーアは判断しているのだろう。そのこと自体は必ずしも間違いとは言いきれない。しかし、『ボウリング・フォー・コロンバイン』のチャールトン・ヘストンへの失礼極まりないアポなし取材や、『華氏』での我田引水かつ恣意的な情報操作はあまりに度を越している。こうなると世間の見方は「反発」の方が強くなってしまう。選挙後のムーアの奇異かつ余裕のない発言を聞くだにつけ、からかいの対象になっているのはブッシュよりもむしろムーアの方になりつつあるようにすら思える。ムーアはさらに『華氏911・2』を企画しているそうだけれども、ひとり、山のてっぺんでヒステリックにアジ演説ぶつような、お寒い映画になっちまわないだろうか。ミシマかい(-_-;)。ギャグって「高踏派」じゃなきゃ作れないものだと思うんだけどね。
 ちなみに第2位は、ハル・ベリー。アカデミー賞女優だってのに、『ゴシカ』『キャットウーマン』がなんだかなあ、な出来だったからだそうだが、それと『Xメン3』のストーム役を蹴ったことも理由になってるんじゃないかな。ステイタスが上がったと思って天狗になってんじゃねえ。それで出た映画があれかよ、という反発。いまからでもおそくないから、『3』にもちゃんと出ます、ギャラ低くてもいいから、とはっきり表明したらどうかねえ。それだけでも「株」はかなり上がると思うけど。

11月23日(火)
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