ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491676hit]
■一面のボブ・サップ/永井豪『天空之狗』1巻
「そうでもないけど」
私の要領が得ないので、父はいささか苛立ったらしく、詰問口調で「お前、今日が何の日か知っとうや」と聞いてきた。
言われて、ああ、そうか、今日は母の命日だったな、と思い出したが、父の試すような口調が気に入らなかったので、知らんぷりを決めこんでこう言った。「何の日って?」
「お母さんの命日やろうが」
「それは知ってるけど何?」
昔ながらの頑固者の父親に対して、こんなしらばっくれたような口のきき方をするもんじゃないとわかっちゃいるのだが、私も父の血を引いているので、機嫌が悪くなるとストレートに口答えしてしまうのである。もちろん、途端に「墓参りに行かんか!」とどやしつけられた。もっともである。
父は仕事で今日は出かけられない。一人で行けということなので、練習に出かける前に菩提寺に回ることにした。何回忌というわけでもなく、特に法要が予定されているわけでもないので、線香をあげて手を合わせただけだが、盆と命日にはこうして拝んでるわけだから、たまにはこの世に化けて出て来てもいいようなものだが。
そう言えば、ひと月くらい前に母親の夢を見た。帰りの電車の中で偶然乗り合わせたのだが、お袋は、乗客を見まわして「あれはみんなヤクザだから気をつけなさいよ」と忠告してくれたのだった。今んとこヤクザに絡まれるような事態には陥ってはいないので、特に正夢だったということはなさそうである。生前、さんざん賭け事ばかりしてたんだから、どうせならたから9時をどこで買ったら当たるかとか、そんな予言くらいしてほしいものである。
かなり遅れたが、3時にパピオに回る。今日の参加者は、らぶきち(桜雅嬢)、加藤君、鴉丸嬢、其ノ他君、細川嬢、ハカセ(穂稀嬢)、よしひと嬢。
とりあえず練習には参加できたのだが、ほとんどが美術や衣装の打ち合わせばかりで、役者の演技を見ることは殆どできなかった。劇中、しげが突き飛ばされてコケるシーンがあるのだが、そのコケ方にダメ出しをしたくらいである。しげにはバレエの足癖がついていて、コケたときにどうしても片足が上がるのだが、そんなコケ方をする一般人はいない(^_^;)。ともかくしげには妙な癖が付きすぎていて、それを矯正するのがひと苦労なのである。
あと、加藤君には英語のセリフを練習するように指示。何しろいかにも日本人でござい、という発音なのである。台本にはフランス語のセリフもあって、そこの発音も矯正してあげたいのだが、そこまで詰めることができるかどうか。まあ、あえて日本語風の発音で軽い笑いを取る、という手もなくはないのだが、それはどちらかというとしげが負うべき役回りなので、ここのところは加藤君にぜひともかっこよく決めてもらいたいのである。
演出補のよしひと嬢も来ていることでもあるし、鴉丸嬢の演技も見たかったのだが、彼女の描く衣装案がまだ間に合っておらず、芝居に参加できない。見たところ、かなりテンパッている感じで、ちょっと「危うい」雰囲気も漂っているのだが、あまりムリはしないでもらいたい。だいたいこの子も頗る美人で素材がいいのに、どういうわけだか自分に対してかなりなコンプレックスを持っていて、毎回うまくできないと思いこんでいるのである。基本は問題ないんで、他の役者とのバランスを調整するだけで充分なんだけどなあ。
公演が近づいて来ているせいだろう、テンパってきているのは実は鴉丸嬢だけではない。今日はもともとパンフレットの案を出し合う予定になっていたはずなのに、私が「もう打ち合わせはしたの?」とその話を切り出すまで、みんな完全に失念していた。
結局、練習時間内にパンフの打ち合わせは出来ず、ダイヤモンドシティに回って、そこのフードコートで夕食を食いながらみんなでパンフの打ち合わせをした。これも今月中にはラフをあげねばならない。やんなきゃならないことは目白押しであるから、多少テンパってくるのは仕方がないのだが、一人のヒステリーが連鎖して、メンバー全員に伝播してしまうと始末に負えなくなる。適度なガス抜きは必要なので、芝居の話抜きの飲み会とかもいいとは思うが、となると途端に私は参加できなくなるのが悲しい。下戸はどうしたって野暮ってことになるのである。
[5]続きを読む
11月07日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る