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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■大掃除大パーティ/『かりん』2・3巻
1962年公開ということは、母は私の妊娠中にこの映画を見に行っていたことになる。……なんかすげえ胎教に悪いことしてないか? 当時、「胎教」なんて知識はあまり普及してなかったから仕方がないけれども。もっとも胎児の私には武満徹の音楽だけしか聞こえちゃいなかっただろう。……いや、武満さんの音楽だけで充分、赤ちゃんにはよくないかもなあ。もしかしてこの映画のせいで私は……。いやいやいや。
昼から映画を見に行こうかと思っていたのだが、とっちらかったままの部屋を放置しておくわけにもいかず、しげが出かけている間に少しでも片付けておこうとまずは山積みのDVDから手を付ける。しげも全く部屋の片付けをほったらかしていたわけではなくて、私にせっつかれて床面積だけは空けていたので、本棚の隙間を見つけながらとりあえずDVDをぶちこんでいく。けどもうスペース自体か殆どないので、本当は読まなくなった本などダンボールに入れて押し入れにでも突っ込むしかないのだが、そこまでの時間的余裕はない。なんとかDVDだけ片付けた時点で、しげたちが北九州から帰ってくる。
本日のお客さんは鴉丸嬢、其ノ他君、カトウ君、圭To嬢(通称ヒゲちゃん)、細川嬢(通称ボインちゃん)。部屋の中に入るなり、鴉丸嬢が「部屋が一つつぶれてる〜!」と泣き笑い。しげが適当に積んだ山積みの本が背丈を越えるほどになっていて、部屋の入口が埋まって中には入れなくなっているのである。隙間をうまく使うことができないというか、大きさも合わせずにただ本を積み重ねているだけなので、バランスは頗る悪く、これもいつ雪崩れを起こすか分からない。こちらはとても手をつけられないので、掃除の対象は主に台所、寝室、居間になる。
居間は特にパーティ会場を作らなきゃならないので、ゴミを拾い集め、掃除機をかけて特に念入りに。総出で季節外れの大掃除であるが、もうゴミが出ること出ること。バケツリレーのようにゴミを外に出して捨てて行くが、ゴミ出し日は本当は明日である。……まあ、1日くらい早いのはいいか。紙ゴミばかりで生ゴミ類は殆どないし。
寝室の本はほとんどしげが持ちこんだもので、枕元に重ねた本が雪崩れを起こしていたのを私が分類して積み重ねていたのを、鴉丸嬢がやっぱりバケツリレーの要領でヒゲちゃんボインちゃんの二人に手渡していったん居間に出して、それからスペースを作り、もう一度崩れないように積み戻して行くという作業。
ときどき鴉丸嬢の悲鳴と笑いが聞こえてくるが、どうやらダニに噛まれているらしい。しげは掃除機をかけることを全然しないまま万年床なので、そりゃダニくらいわいているだろう。つか、しげだって寝てるときダニに噛まれてるはずなんだが、鈍獣だから気が付いていないのだろう。
「掃除機の替えのフィルターはどこっ!?」
「えーと、どこだっけ?」
「そこの引き出しの中でしょっ!? こないだ片付けに来た時、私が片付けたんだからっ!」
「すごーい、オレよりウチの中のことよく知ってるー」
「そんなこと言われても、ぜんっぜん嬉しくないっ!」
鴉丸嬢としげの会話を端で見ていると、まるでボケとツッコミの漫才コンビである。この雰囲気のままに今回の芝居の台本を書いたのだが、自然体の二人のほうがはるかに面白い。いや、鴉丸嬢にとってみれば「なんで自分たちで家の中のことくらいできないのだ」ということになるのだが。いやね、私は今、鴉丸嬢が感じているのと同じ疲労感を結構当初から数年、散々味わって、もう疲れてしまったのですよ。
台所担当は主にカトウ君、其ノ他君だが、カトウ君は今日の待ち合わせに寝坊して遅れたとかで、一番大変な場所を割り当てられている。ゴミ溜めと化している流しを片付けながら、「虫が涌いてないだけマシですよ」と言っていたが、もちろん虫は涌いていたのをさすがにこれは、と私が掃除しておいたのだ。もちろんしげには何度も「片付けとけ」と言っといたのだが、いつも通り無視されてしまっていた。
結局掃除に3時間ほどかかってしまったが、終わったあと、みんなの手は真っ黒に汚れていた。日頃の掃除がちゃんとされてれば、こんなことはないんだけどねえ。
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09月19日(日)
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