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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■911の陰謀
『華氏911』は既に映画としての評価を離れて、「あなたはブッシュにYES?NO?」イベントの中心としての位置を占めるようになってしまっている。けれど、もしこれでブッシュが再選されるようなことになったら、「自分の活動が歴史を動かせるかも」ってユメ見てるムーア礼賛者のみなさんはどうなっちゃうんだろうか。絶望して人生投げ出しちゃうだろうか。まず絶対そうならないのは確実で、それまでと同じ何の変哲もない日常を過ごすだけだろう。それだけでも『華氏』に感動した連中が一時的なロマンチシズムに酔い痴れてるだけなのは証明できてしまうのである。
どんな運動でもそうだが、絶対の正義を振りかざすように他人を洗脳しようとすれば、ピュアだったりイノセントな方は別として、普通の神経持ってる人はまず「引く」ものである。確かに歴史は人が動かしていくものだし、小さな一人の力が歴史に大きく関与し影響していった例もあるが、だからと言って、「あなた」がその一人である可能性は限りなく低いのである。つか、「自分がそうかも」と思いこんだ時点で歴史の流れは「あなた」から離れていくものなのよ。自意識過剰っつーかさ、自我肥大起こした人間がどれだけ鬱陶しいものなのか、ちょっとくらいは考えてみてね、お願いだから。
ちょうど『ビートたけしの!こんなはずでは!!』で、あの同時多発テロが「ブッシュの謀略」だとか放送してたけど、そういう奇説に心惹かれる人々もやっぱり自意識過剰で、自らの満たされぬ心を「誰かの陰謀のせい」にしたがっているところがある。
なんだかなあ、トンデモを笑うってのはやっぱり本人にもトンデモな気質があって、同族どうし相惹かれる面があるんだよなあ。『華氏』にハマった人を私がついつい罵倒してしまうのも、私にだってムーア擁護派の人々のように、「誰かを悪者にすることで、自分自身にも責任があることを自覚したがらない」部分があるからである。心のどこかに自らを「善人」だと思うことで免罪符を得たい、ラクな生き方をしたいっていう願望があるんだね。
実はそこにピュアな方につけ込まれかねない「心の穴」があるのである。その「穴」に向かって「無理をしないで、悪いのは君じゃないんだから」なんて囁かれたら、もう私はべそべそ泣きたくなって、囁いてくれた相手に「一生付いて行きます」みたいな気分にだってなりかねないのである。幸い、これまでの人生でそんなこと言ってきた人にはあまり出会わなかったけれども、どこかで一歩間違えてたら今頃どこかの山で修行してたかもしれないね(~_~;)。甘言には用心、用心である。
09月11日(土)
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