ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491678hit]

■スタジオジブリ、金のオゼッラ賞
 今日は練習にドッグさんとこの公演もあったんだけれども、体力温存のためウチで一日ゆっくり。役者が揃うんなら無理してでも行こうかと思ったけれども、カトウ君が来ないことになったようなので。
 カメの水の張り替えをして、日本映画専門チャンネルで『御用金』を見る。五社英雄時代劇の代表作と言っていいと思うけれども、これもずっと見たかった映画だったのに、今まで機会がなかった。インタビュー番組が先にあって、主演の仲代達矢が「当時共演の三船敏郎さんが降りたのは、『体調不良のため』ということになってましたが、実は私が酒の席で三船さんと喧嘩したせいでした」と告白していたが、映画を見ると役柄としては『座頭市と用心棒』の二番煎じみたいな役で、これは「軽く」演じてくれていた代役の中村錦之助の方が適役だったと思う。映画自体も骨太だし、三船さんがやるとどうしても豪快になるから、全体として「重く」なりすぎてしまう。そこをコメディリリーフ的な萬屋さんの演技がうまくバランスを取った格好になっていた。
 でも物語としては「幕府の苛斂誅求に抵抗を試みる」という、当時やたらと流行った『影狩り』とか『子連れ狼』のパターンで、仲代達矢もどうしても室戸十兵衛みたいに見えてしまって(映画で十兵衛を演じたのは石原裕次郎だったが、ありゃやっぱり仲代さんの方が似合ってる役だ)もう一つ魅力に欠けるのがネックであった。ほぼ全編、雪山でのロケというのはなかなか迫力があったけれども。

 昼メシは自分で湯がいて作ったそば。こないだそば食ったあとで吐いて腹痛に襲われたことを考えると、ちょっと怖かったのだが、今度は問題なし。もう完全に普通食に戻してよさそうである。
 夜、七時半からNHKでようやく『名探偵ポワロとマープル』を見る。今回は「総理大臣の失踪・後編/真実はイギリスに」。
 ええっと、これは誘拐された総理大臣は実は……っていう他愛ないトリックだったな。文字だと騙されるかもしれないけど、映像にしたら一発でバレバレになっちゃうから(だからこれも叙述トリックなのである)、そもそもこれを選んで映像化しよう、というスタッフの神経を疑うのだけれど、少しは映像的に工夫してるかと思ったら、全然してないのな。なんでそんなアホなことしたのかなあって考えたんだけど、NHKだし、「子供向け」ってことを考慮して、わざと「わかりやすいまま」アニメにしてるってことなのかもね。でも「子供騙し」なアニメは結果的には子供にもつまんなくなると思うんだけど。これを楽しめるのってせいぜい小学生までじゃないのかなあ。今時の学生って馬鹿も増えてるから、中学生でも面白がるやつはいるかもしれないけど。
 技術的にも音楽だけがやたら過剰なだけで、アニメがそれに付いていっていない。人物はともかく、ポワロのマンションとか、背景ですらアップが多いのは、美術の手間を省いてるだけだろう。
 あちこちから散々悪評判を聞かされていたので、どれほどヒドイもんかと思って見たけど、普通に面白味のないアニメでした。オー・エル・エム製作ならこんなもんでしょ。



 第61回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門の授賞式が11日開催。
 注目の金獅子賞は、下馬評通り、マイク・リー監督の『ヴェラ・ドレイク(“Vera Drake”)』が受賞。内容は「中絶が禁止されていた1950年代の英国を舞台に、不本意な妊娠をした女性たちに非合法中絶を施した労働者階級の主婦をテーマにした作品」だそうだけれど、何だか山田風太郎の荊木歓喜か『サイダーハウス・ルール』みたいな。
 私は基本的に中絶反対派で、遊んでガキ作ってまた遊ぶのにジャマになるから降ろすとか、「今は中絶できるようになってラッキー」みたいな連中はこの糞野郎どもがという気分になってしまうのだが、「不本意な妊娠の中絶」まで禁止しろとは言わない。ただ、それでも母体への悪影響や、何よりどんな形で生まれてくるにせよ、既に意志の萌芽しつつある命を一つ奪うことに関しては、熟慮が必要だと思う。その辺の解釈について、マイク・リー監督がどんな「答え」を用意しているのかが気になるところだ。

[5]続きを読む

09月12日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る