ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491680hit]

■回想の『王立宇宙軍』
 いや、ワキの役者だけはムダにいい人ばかり使ってるんだよねえ。見終わった後、しげは「地井武男と峰岸徹って、どこに出てたの!?」と言ってたが、あの人たちですらその他大勢の一人だからなあ。確かに金だきゃ掛けてるんである。「音楽だけはいいんだけどねえ」としげがしみじみ言ってたが、そりゃ、公開当時から言われてたことである。
 そのあと、立て続けに『金田一耕助の冒険』『キルビルvol.1』『DAICONFILM版帰ってきたウルトラマン』などを見せる。普通の神経の持ち主ならば、こんなヘンなものばかり見せられたら、当然閉口するところだろうが、下村嬢もツワモノで、「ここに来なかったら、一生見ることがなかったものばかり見せていただきました」なんて言っている。
 何だかんだで、2時を回ったので就寝。と言っても既に本とビデオで寝るスペースすらなくなりかけている我が家、寝室に下村嬢、居間にしげが寝たら、私は椅子で寝るしかないのであった(^_^;)。奥の書庫、そのうち片付けなきゃなあ。


 お気に入りさんの日記で、ガイナックスのデビュー作『王立宇宙軍 オネアミスの翼』について熱烈な思いを語られている方がいらっしゃった。お若い方のようなので、多分映画公開時は小学生くらいだろうと思われるのだが、そんなころからあの映画の魅力を感じてくれてる人がいるというのは、昔からのガイナファンとしては嬉しい限りである。

 しかし、当時を思い返すだに哀しくなってしまうのだが、記念すべきガイナックス製作第1弾であるあの映画は、興行的にはまるでヒットしなかったのである(厳密に言うとそれなりにヒットはしたのだが、シロウトに毛が生えた程度のスタッフの力不足による哀しさ、投下資本がデカ過ぎて、製作費が回収不能になってしまっていた。そのために、『王立』1作を製作して解散する予定だったガイナックスは、仕方なく会社組織として次作を作り続けて行かざるを得なくなる。シロウト集団である点にこそ誇りを持っていた当時の庵野秀明が、ガイナックス存続に激怒したというのは有名な話)。
 『DAICON FILM』で、素人ながらプロ顔負けの実力を持つと絶賛されていたスタッフ(『風の谷のナウシカ』の「巨神兵」の作画で「庵野秀明」の名は既に知られていたが)による手抜きの一切ない製作過程は、『アニメージュ』誌上に毎号のように掲載、逐一報告されていたし、宮崎駿もまたその出来映えを「バンダイを騙して作っている」と皮肉を交えながらも応援していた(宮崎駿は当時からこういうヒネクレた誉め方しかしないヒトであった)。
 当然、アニメファンの間でも評価は思いきり高く、結果として第5回日本アニメ大賞最優秀作品賞、第10回アニメグランプリ、第19回星雲賞メディア部門受賞など、賞にも恵まれていたのだが、いかんせん、劇場に一般客だけは来なかったのである(-_-;)。

 宮崎駿がいみじくも喝破した通り、『王立宇宙軍(『オネアミスの翼』というタイトルは、劇場公開に際して『王立宇宙軍』のまでは求心力に欠ける、と判断されて付け加えられたもので、現在は原タイトルに戻されている)』は、配給元であるバンダイをうまいことダマくらかして作られた、壮大なデッチアゲ映画である(誉めているので誤解なきよう)。「SF」の意匠を付けてはいるが、それはアナロジーに過ぎない。
 主人公シロツグ・ラーダットを始めとする「宇宙軍」の正体はその名通りのそれではなく、当時のアニメ、特撮ファンであったガイナックスのスタッフたち自身、つまり「オタク」たちであった。何しろ主人公のシロツグたちは「宇宙軍」だというだけでバカにされている。なぜ「宇宙軍」だとバカにされるのか、説得力のある説明は劇中ではなされないが、これを「オタク」と置き換えるとすんなり理解できてしまうのである。
 例えば、冒頭のシロツグのセリフは以下の通りである。


> いいことなのか、悪いことなのか、わからない。でも多くの人間がそうであるように、俺もまた自分の生まれた国で育った。そしてごく普通の中流家庭に生まれつくことができた。だから貴族の不幸も貧乏人の苦労も知らない。別に知りたいとも思わない。

[5]続きを読む

06月13日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る