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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■お盛んな大阪/映画『總篇 佐々木小次郎』/『Q.E.D. 証明終了』16巻(加藤元浩)/『魁!! クロマティ高校』7巻(野中英次)ほか
シリーズも巻数を重ねてきてるからなのか、「異色」なエピソードが増えてきてる印象。
『サクラ サクラ』は殺人もなければ誘拐もない。事件らしい事件もない。佐藤春夫の『家常茶飯』のような、基本的にはただの「失せもの探し」の話である。こういうのを他愛ないと切って捨てる読者もいるだろうが、「日常の謎」を描けることこそが、その作家に本当に実力が備わっている証拠なのである。「闇の中でも文字が読める」ネタに、「はは〜ん」と気づく人も多いと思うけど、この話の眼目は更に「そのあと」にあるのだから、そこで即断してこの話を侮ってはならないのである。それにただの物探しの話じゃなくて、今回は燈馬想が完全に「安楽椅子探偵」に徹してる点にも注目しておくべきだろう。
ちょっとラブコメ要素が入ってるのはまあ、ご愛嬌ということで(^o^)。
『死者の涙』には、ちょい怪奇ミステリの要素あり。タイトルは比喩でもなんでもなく、“本当に”死者が涙を流す話なのである。別にそこに「トリック」はありません(このへんはネタバレの範囲外だし、この手のミステリに不慣れな人は予め知っといたほうがいいだろうと思うんで書いときます)。これもカーの『火刑法廷』ほか、「そういうミステリの系譜がある」ことを知ってないと、多分「んなことあるワケないじゃん」と突っ込んでしまう読者もいるだろうね。
つまり今回は二作ともすげえ「マニア受け」な話なんで(いつもそうだけど)、こんなん描いてお客さん付いて来れるんかいな、という心配が少しばかりしないでもない。けれどそのマニア性をそれと感じさせることなく、エンタテインメントなマンガとして成立させている点に加藤さんの非凡さがあると言えるのである。何度も書いてるけど、『探偵学園Q』とか『名探偵コナン』とか読んで感心してるようじゃ、ミステリの奥深さは全然味わえないってことなんですよ。
マンガ、野中英次『魁!! クロマティ高校』7巻(講談社/少年マガジンコミックス・410円)。
今度は「悲願熱涙編」(by『空手バカ一代』)です。この「〜編」ってのもいくらでもネタありそうなワリにもう随分マイナーなの選んできてるねえ。内容とはほぼ全く全然というほど関係ないのが常だけど、表紙のキャラが北斗武士だと、何となく意味ありげには見えるからフシギ(^o^)。
中身は相変わらずで、いったいこれは面白いんだかつまらないんだか分らないセンスでぶっ飛ばしてますねえ。もうゴリラの絵がヘタでヘタで。これじゃイエティだよ(^_^;)。いやそんなことが言いたいわけじゃなくて。
関係ないけど「ジェットコースターでは両手を上げる」なんてお約束、あったの?
09月23日(火)
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