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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ボンちゃんって呼び名も懐かしい/ドラマ『血脈』/『×××HOLIC』1巻(CLAMP)
 うちのしげは「ダン・エイクロイドが出演していればそれだけで傑作」と主張してますが、これはしげの中では絶対的な真理ですから、何をどう言ったってムダ(^_^;)。もちろん、世間一般に通用する意見でないってことは本人も百も承知。文句言ったって仕方ないんだけど、相手の見てるものが「ダン・エイクロイド」だけだったら、やっぱり「お前、そこだけ見るのはやめろよ」と言いたくはなりましょう。言ってはいないけど。
 『踊る2』を本気で面白いと思ってる人は、映画をこれまでたいして見たことがないか、見ていても漫然と眺めていただけの人である(評論家の佐藤忠男も誉めちぎっているが、あの人もそうなのか、と聞かれたら「そうだ」と答えよう)。もちろんそれが悪いことだと言うつもりはない。誰にだって「初心者」の時期はあるのだ。江戸川乱歩の通俗ものと同じで、最初の一冊は面白いが、何冊も読んで行くと「なんだ、全部同じじゃん」と思って飽きる(もっとも微妙な差異が面白くて全作読んじゃってますが)。私は『踊る2』については「これまでに見たことのある絵、展開」しか見えなかったので、「陳腐」としか言えなかったのだが、ドラマのセオリーを外してるわけではないから、「面白い」と感じる人もいて当然でしょう。私にとって「寄せ集めのガラクタ」にすぎないものが「大切な宝物」に見えたからと言って、それを間違いだというつもりはないし、言ったとしたらこんなに僭越なことはない。
 ただ、「もっと面白い映画はいくらでもあるのに、知識や教養がないとわかんないんだな」とは思う。これはただの事実の指摘なんで(まさか『踊る2』が世界映画史上ベストワンだと言う人はいますまい)、バカにしてものを言ってるわけじゃないんだから、『踊る2』のファンの人、怒っちゃいけません。と言ってもムダかもしれないが。
 山根貞男氏などは「どうしようもないシロモノで、無視するのが真っ当な対応」「「カビの生えた古い感性の安っぽいセンチメンタリズムと劣悪なご都合主義」「ひたすら観客への迎合でのみ成り立っている」と容赦がない。ここまで断言してくれると実に小気味よい限り。『踊る2』肯定派の人も、この程度の言葉を受け流せる余裕がなきゃ、それこそマトモな意見吐いても相手にされなくなるから、ご注意を。


 夜、TVQで佐藤愛子原作、中島丈博脚本、久世光彦演出『ドラマスペシャル 血脈 大正〜昭和大震災と戦争の時代・妻として、母として、家族を激しく愛し、憎んだある女優の一生』見る。
 原作の方はいつか読んでやろうと思いつつ、文庫化を待ってる最中。でもそれは作家研究の興味からなんで、ここに登場する人たちのことを殆ど知らないだろう若い人がこの物語にどんな興味を抱くんだろう、といささか気になる。佐藤紅緑なんか、ただの無軌道親父にしか見えないんじゃないか。「あの『ああ玉杯に花うけて』の佐藤紅緑が」と思うからそのイメージのギャップに驚いちゃうんだけどねえ。
 実は久世さんの演出は昔からわざとらしくてそう好きではない。今回も時代の変遷を表すのに回り舞台に佐藤家の家屋を乗せて回すというのをやってるけど、それは舞台の演出で、テレビでやってもつまんないよな、と思ってしまう。昔『真夜中のヒーロー』って番組でも裸の岸本加世子を檻に入れてぐるぐる回し、「ああ、落ちる」とか歌わせてたけど。なんでも回せばいいというものではないのである。
 キャストは佐藤シナに宮沢りえ、佐藤愛子に石田ゆり子、サトウハチローに勝村政信、佐藤紅緑に緒形拳という布陣。宮沢りえは若くしてもう痛々しげだから役柄に合ってると言えなくはないけれども、なんだかやっぱり芝居が軽い。歴史の点景をかいつまんで描くような手法も、ドラマが薄くなる危険を考えなかったのかと不満が残る。
 筒井康隆が島村抱月役で出てたけど、いくらなんでも太り過ぎてるんじゃないかな。


 マンガ、CLAMP『×××HOLIC 〜×××ホリック〜』1巻(講談社/ヤングマガジンコミックスデラックス・560円)。

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09月08日(月)
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