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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■揺れて揺れて揺れて/『のだめカンタービレ』1・2巻/『平成よっぱらい研究所 完全版』(二ノ宮知子)ほか
丸橋忠弥(加東大介)
大久保彦左衛門(片岡千惠藏)
再放送も久しく見ていなかったので、ああ、この人も出ていたのかと懐かしくなったのが、林戸右衛門役の伊吹聡太朗さん。この人も古い役者で、ほぼ悪役専門であったが、『隠密剣士』のころから忍者役などで活躍されている。今どうされているかとネット検索して見たら、1998年に亡くなられていた。そんなにお年を召されているようには見えなかったけれど、おいくつだったのだろうか。『江戸を斬る』では、由井正雪の片腕の一人で最も危険な剣士を、その狼のような風貌で演じられていた。
14話のゲスト、中村敦夫の演じた駿河大納言忠長は、菊池寛の『忠直卿行状記』で有名。テレビでは由井正雪と組んで謀反を企み、松坂慶子の奈美に諌められて思い留まるように描かれているが、もちろんこれは史実ではない。実際の忠直卿は行いを改めるどころか、その残忍な乱行が幕府に咎められ、改易されている。何だかいかにもテレビ的な改変の仕方で、ちょっと残念であるが、一回きりのゲスト出演だから、これもやむを得ない。
15話の加藤剛演じる笹野権三郎はいわゆる「鑓の権三」だが、近松の浄瑠璃では女敵討ちに合う権三が、こちらでは敵討ちの助っ人になっている。こちらは講談に取材しているので、郷ひろみが演じた映画『鑓の権三』と見比べると、イメージが正反対なのでそのギャップに苦しむことになる(^o^)。
どちらのエピソードもムリヤリ慶安事件にリンクさせてるので、脚本としては
ちょっと苦しいのだが、書いたのが「葉村彰子」なので、いったい誰だかわからない。知ってる人も多いと思うが、この名前の人物は実在しない。松下電器のプロデューサーであった逸見稔(へんみみのる)氏が、番組制作のために結成した企画集団SHPに参加した、松木ひろし・向田邦子・窪田篤人・津田幸於・大西信行・櫻井康裕・田口耕三・柴英三郎の連名ペンネームである。後には加藤泰・山内鉄也・岡田裕介も名を連ねたというから、こうなると誰がどの脚本を書いたのか全くわからない。
ついでだけれど、あの大林宣彦監督の映画版『ねらわれた“私は宇宙だ!!”学園』も脚本は葉村彰子名義。だからいったい誰なんだよう。
マンガ、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』1・2巻(講談社/KCキス・各410円)。
「のだめ」ってのは本作のヒロイン「野田恵(のだめぐみ)」のこと。
昔、『あずきちゃん』ってマンガに出てくる「ジダマ」って女の子の本名が分らず、ムチャクチャ気になってたんだけど、あの子にはどうやら本名はなかったらしい。「のだめ」の場合はそんな心配をする必要はなかったが、普通。こういう仇名をつけられる子に知的な美少女とか可憐なたおやめとかはいない(^o^)。実際、のだめも「一風」変わっている。
桃ヶ丘音楽学園大学のピアノ科一年生、どうやら天才的な音感を持ってはいるらしいのだけれど、生活能力はゼロ以下。住んでるマンションの部屋はゴミタメと化し(「野溜め」だな)、コバエが飛び交う不潔さ。フロには一日置き、シャンプーは五日置きで、腹が減ると人の弁当でも勝手に取って食う。でもってしょっちゅうハナだのヨダレなど垂らして泣く。……端から見てりゃ面白いかもしれないが、実際にこんなヤツがいたらすげえ迷惑な感じだ。でも、まんまソックリなヤツがすぐ側にいるような気がするよ(T∇T)。実際、のだめにもモデルがいるらしいが(福岡人らしい)。
本能のままに生きてるようなこいつになぜか関わることになってしまったのが、やはり天才的な才能の持ち主で、渡欧して指揮者になることを夢見ていながら飛行機恐怖症のために望み叶わず、鬱屈した生活を送っていた千秋真一センパイ。のだめに振り回されながらも、二人の才能は打てば響くがごとく、互いに呼応しあって花開いていく……のかな?(^_^;)
作者のクラシック好きと言うか、ベートーベン好きが高じて書き始められたらしいこのマンガ、もちろんその音はマンガから聞こえては来ないのだけれど、のだめがもうのだめだから(^o^)、彼女の弾く「楽譜見ないからデタラメだけど間違ってなくてすごくうまい」ピアノってのがどんな曲なのか、空想が広がって思わずマンガに引き込まれる。
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07月27日(日)
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