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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オタクの末路?/『吼えろペン』8巻(島本和彦)/『フロイト先生のウソ』(R・デーゲン)/DVD『マジンカイザー死闘!暗黒大将軍』
これまで島本和彦の「熱さ」に対抗できるマンガ家などそうはいなかった。熱く見せかけて実は軟弱、でもやっぱり熱血という島本さんの築き上げたギャグだかシリアスだかよくわかんないけど、勢いがあればそれでヨシ! というスタンスは、唯一無二のように思えたのだ。まさかその牙城を脅かすギャ……いやいや、熱血マンガ家が現れようとは誰が予想しただろう。
何たって、富士鷹ジュビロが富士鷹ジュビロの絵柄で咆哮するのだ(本人が描いてんじゃないかってくらいのすげえカキコミ)。まさに「吠えろペン」というタイトルは彼のためにあったと言っても過言ではない。
いやもう、とてもその「熱さ」を伝えられる筆など私は持っておりません。いくつかのジュビロ氏のセリフを引用するだけで御容赦(^_^;)。
「面白くなるように……話に読者が食いつくように……と連載の当初はどんどん目新しいエピソードやキャラクターを投入し……これでもかこれでもか! と風呂敷を広げまくり――気がついたら大変なことになっちゃってるもんなんだよ!!」
「大人がだ! マンガ描いてメシを食わせてもらている、仮にもプロがだよ!! 自分をきつく戒めながら、それでも立ち向かって行くという姿を! 若い読者に見せられんでどうする!」
「おれは、たとえ死にそうに時間のない時でも! 原稿を落とす――いわゆる雑誌に穴をあけたことはないんだよ! もちろん今後もあけるつもりはいっさいないが! それがプロとして最低限の縛りじゃあないのか!?」
「アシのみんなには正しい線を描くようにと指導している……が、魂のこもったキャラクターは実はイビツであるべき! くずれてなきゃいかんのだ!」
「一度雑誌に載せたものを……単行本の時に改竄するのは読者に対する裏切りだ!! だったら最初っからやらなきゃいいんだ! 単行本描き直しという腰の抜けた行為は、おれは大嫌いだ!!!」
「ククク…ついにおれも『吠えろペン』に出るか! ついに! ……だがな…言っておくが、下手な遠慮するなよ! やるからには面白さ最優先だ! わかってるな!? 遠慮してつまらんものを描いてみろっ、絶対に許さんぞっ!!」
手塚治虫を思いっきり批判してるのもあるな(^_^;)。
けれど私もここで声を大にして言おう。
「ジュビロのセリフを聞いて、妙に斜に構えたり、何をアツくなってんだバカ、とか嘯くヤツラは魂が腐っている! 人間のクズだ! 男なら自らの魂に向き合わんでどうする! 燃えて吠えてこそ、それが男の生きざまというものではないのかっ!!」
……うーむ、やはりジュビロ氏ほどの熱さはなかなか再現できんなあ(^_^;)。
ロルフ・デーゲン(赤根洋子訳)『フロイト先生のウソ“Lexikon der Psyco-Irrtumer”』(文春文庫・740円)。
タイトルはフロイトだけをターゲットにしているが、「心理学」全般の胡散臭さを様々なデータをもとに片っ端から批判した本である。
精神分析も含めた心理学が決して万能ではないことは随分前から指摘されてはいる。学問としても新しく、理論として確立されているわけでもない。フロイトのようになんでもかんでもリビドーで説明しようってのはそりゃムチャだろうとシロウトでもわかるし、学会でもフロイトを引用すれば失笑を買うとも聞いている。じゃあ、ユングならいいのか、というものでもないらしい。要するに学問としては未だ「発展途上」の分野なのである。
だから突っ込もうと思えばいくらでも突っ込みどころはあるのだが、往々にしてこういう本は「突っ込みすぎ」て、かえってその実証性を疑われることにもなりかねない。
例えば犯罪者の人格形成に教育やマスメディアが一切関与していないような書き方はやはり「言い過ぎ」ではないか。子供が犯罪を起こせばすぐに「親の教育が悪いからだ」と短絡的に語りたがる人間が多いのには確かに閉口するのだが、「親による虐待などの不幸な家庭に育った子供が、将来破壊的な行動に走るとは限らない」ことは、「犯罪行動の素因として幼児期の虐待が影響している」ことを否定することにはならないのである。
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07月22日(火)
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