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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■A fluit of “H”/舞台『Bad News ★ Good Timing』/『超少女明日香 学校編』1巻(和田慎二)
「だから、『自分が裏切られるかもしれない』って不安に思うから、『それなら最初から相手を疑ってた方が、実際に裏切られた時のショックが少ない』とか考えちゃうってことだよ」
「そんなん当たり前やん。裏切ってないとかわからんし」
「仮に裏切ってたとしても、それが死ぬまでバレなきゃ問題ないわけじゃん」
「そう言っててさ、オレが死ぬときになって、『実はおまえを裏切ってたんだよ』って言われたらショックやん」
「言わねーよ。それに、言ったとしてもすぐ死ぬんだから別にいいじゃん」
「いやん」
「何がイヤだよ! ずっと疑われつづけるほうがイヤだよ。だいたいおまえは俺がこうたろう君と電話しててもヤキモチ焼くだろ」
「当たり前やん」
「だからこうたろう君は男だろうが! おまえ、男だろうがモノだろうが絶対ヤキモチ焼くけど、モノとどうやったら浮気できるんだよ!」
「なん、アンタ、『愛情は思いこみだ』って言っとったやん」
「思いこまなくていい相手まで思いこんでどうする! おまえの言い方だったら、オレはホモでヘテロでマザコンでロリコンでフェチだってことになるじゃんか。なんでオレが世の中のヘンタイを全部一手に引きうけなきゃならんのだ!」
「がははははははは!」
「……な、どうした?!」
「ひいひいひい、アンタが面白いコト言うから……げへへへへへへ!」
「オレが何、面白いコト言ったよ?」
「世界のヘンタイを一手にって……」
「……『世界』じゃないよ、『世の中』だよ……あ、おまえ、俺が世界のヘンタイを全部演じてる様子想像したな!?」
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
……このあともずっとしげは、思い出し笑いしながら車を運転していくのであった。危なっかしいったらないが、未だにわからない。「世界のヘンタイ」って、そんなに可笑しいか?
ちょうどリンガーハットに愛上さんが入っている時間だというので、二人で寄ってみる。
覗いたとたん、「いらっしゃいませ」の声が愛上さん。
驚いたような可笑しいような笑顔。しげもいつも着ているリンガーハットの淡いピンクの制服を来ているが、もちろんしげよりほっそりしている。一時期ちょいと太りギミであったがも少しスマートになったようだ。名札にはしっかり「研修」の二文字。
「お好きな席へどうぞ」の声がなんとなくおっかなびっくりである。
もともと少しハスキーなところのある愛上さんの声だが、注文を取る時はやはりやや甲高くなる。しげなんか耳に響くくらいにキンキン声になっちゃうのだが、これもいわゆる職業病というやつか。
そんでもって、やっぱり「ご注文は以上でよろし『かった』ですか?」と過去形。注意はされてるはずだと思うが、なぜここまで蔓延するかなあ。集団で意識の変革が起こったとしか解釈のしようがないな。
リンガーの制服、はっきり言ってあまりかわいらしいものではない。もちろん往年のアンナミラーズではないのだから(今はどうなってるか知らん)、別に色気を振りまく必要はないのだが、せめてあのなんの愛想もないただの円柱型の帽子はなんとかならんものか。イマイチ愛上さんに似合っていないのである。
でも、店に来る客は当然なにも知るまいが、この子が既に二人の子持ちであると誰が見抜けようか。だってまだ21歳か22歳だし。そうかヤンママだったか(^o^)。
いつもの通り、皿うどんセットを頼むと、
「餃子を一口餃子に代えられますがいかがいたしますか?」
そう聞かれて、断れるものではない。営業トークだとはわかっていても(それが愛上さんでなくても)こういうセリフには弱いのである。女で破滅するタイプだよなあ、オレ。もうしてるか(-_-;)。
注文を取って引っ込む時に愛上さんがボソッと「……びっくりしました」と呟いたのがかわいらしかった。全く生活臭さがいい意味で身につかないヒトである。
家庭に入ってしまったために、劇団のキャストとしてはなかなか板の上に立ってもらえなくなってしまったが、ウチでは一番の演技派なんで、しげたちももっと愛上さんをうまく使う方法、考えてほしいものなんだが。
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10月29日(火)
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