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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■若本規夫賛江/映画『サイン』/『エドワード・ゴーリーの世界』(濱中利信編・柴田元幸・江國香織)
 醤油ラーメンのわりにえらく油が浮いている。スープを飲んでみると見た目ほどしつこくはないが、もう少しあっさりした味を期待していたので、ちょっと首を傾げる。もしかしたら東京で出してるものと違って、豚骨ベースにしてるのではないか。これがもし、福岡の人間は豚骨、という摺り込みでされたことだとしたらマジでゆゆしき事態である。全国各地のラーメンが食えるというラーメンスタジアムのコンセプトが崩れちゃうではないか。それどころか、福岡の人間はともかく豚骨しか食わない舌バカ、と思われてるんじゃないかと心配になってくる。……もう遅いのかなあ。


 福家書店を回ってコミックスの新刊を何冊か買ったあと、AMCで映画『サイン』。
 相変わらずしげは、M・ナイト・シャマラン監督の“M”を「ミッド」だと主張する。ミッドナイト・シャマランって、そりゃナニジンだよ。
 しげにはほかにもこの手のアホ話がやたらとあって、「ねえ、エドガー・アラン・ポーって、エドガーとアランとポーなの?」って意味不明のものもある。そんなこと言ってたら、パブロ・ピカソは何人いるんだ(本名がすげー長いんである)。多分、しげの脳構造は人間のものと違ってるんだろうな、あれ、エイリアンだから。
 シャマラン監督がどうしてMをイニシャルのままにしているのか、理由はよく知らないが、多分インド系の人だから発音が難しいとか、あるいは宗教上の理由があるとかそんなんじゃないかね。
 それはそれとして、今回、批評が殆ど書けないのである。ヒッチコックの『サイコ』あたりが嚆矢だと思うが、いわゆる「この結末は誰にも話さないで下さい」ってやつだね。『シックス・センス』でも『アンブレイカブル』でもそうだったけれど、それに触れずに感想を述べることがそもそも不可能な映画なんである。
 予告編で仰々しく紹介されてたミステリーサークル、これが果たして大掛かりなイタズラなのか宇宙人のシワザなのか、それとも全く別のものなのか、この謎の答えをヒミツにしてくれと言われちゃ、もう話自体が進められない。もちろんネットを散策すりゃあ、ネタバレ思いっきりしてるとこだってゴマンとあるだろうが、一応ミステリファンのハシクレとしては、まあ、三年は秘密にしておきたい(『影武者』かよ)。
 というわけでストーリーも一切言わないで、感想だけ述べれば、限りなくフツー。堅実と言えばこれほど堅実な演出もない。シャマラン監督、今回は『シックス・センス』や『アンブレイカブル』のときのような無意味などんでん返しは全く行わなかった。伏線は全てラストに向かって有機的に築き上げられているから、素直に見ていけば、ラストもまあ、物語としては納得できるのである。もっとも、あの作品やあの作品にインスパイアされたんじゃないかなってのは今回も強く思った。ただ、それは欠点とまでは言えない。
 でも、だからって面白いとは限らないんだよねー。映画としての欠点はないが、ツッコミどころは腐るほどある。そのツッコミどころも全て謎に絡んでるからやっぱり書けないのだが。
 しょうがないからもう、演技的なことを書くくらいしかないが、メル・ギブソン、最初から最後まで同じ表情。『身代金』の時もそうだったから、この人の演技ってやつがパターン化されてきてるってことじゃないのかね。今回の映画にこの人の重々しすぎる演技が合ってたかどうかってのは賛否が分れるところだろう。
 どっちかって言うと、今回はオトナより子役二人の名演が光るな。カルキンくんは目にクマのできたマコーレー(^^)。いやあ、あの暗さがいいねえ。特にあそこんとことかあそこんとことか。アビゲイルちゃんは、角度によってはなんかデクノボーに見えるが、真正面から表情をしっかり撮ると映える。アチラは子役もしっかり演技指導されてるんだろうなあ。アレがアレした時のあの仕草はすげーかわいかったな(^o^)。
 何が言いたいんだか、具体的なことを書かないでは全く分らないだろうが、仕方がない。まあ、リピーターが出るのも分るなあ、とは思うのである。かと言って、ホントにありふれた映画なんで、さほどお奨めはしませんが。


 濱中利信編・柴田元幸・江國香織ほか『エドワード・ゴーリーの世界』(河出書房新社・1575円)。

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10月14日(月)
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